2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330054
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河島 伸子 Doshisha University, 経済学部, 教授 (20319461)
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Keywords | コンテンツ産業 / 著作権法 / 法と経済学 |
Research Abstract |
本年度はソニーグループの事例研究を予定していたが、もう少し幅広くコンテンツ制作自体を行う企業について理解を深める必要を感じたため、産業ごとに研究するための研究会を開催し、出版関係、音楽関係、ゲーム関係の各事例についての報告と議論を、メンバーと重ねた。その結果、予想以上に、コンテンツ産業内で、創造的な商品を開発する力が著しく落ちていることが明らかになった。その理由はさまざまであるが、出版・音楽においては、第一次創造者の才能を探し出して商品化するか否かを決定するフィルタリング及びゲートキーピング機能を外注に任せる比率が高すぎるのではないか、内部におけるこのような文化産業にとってもっとも大切な経験、暗黙知などがすり減っていることが原因ではないかと思われた。ゲーム関係については、明確なことは言えないが、いわゆるハリウッド型のブロックバスター的ゲーム開発が主流になってしまったため、リスクをとれず、シリーズものに依存する傾向が強く、新たなイノベーションが起きにくい現状だということは確認できた。 また一方で、著作権法、通信・放送関係の法・規制については、各大学(北海道大学、東京大学)の法学研究会において発表し、論文執筆を進めた。著作権法については、著作者人格権を制限する方向での改革が必要であることが明らかになった。これ自体は、若手の法学者の間でも既に言われていることだが、私自身の貢献としては、著作者人格権を制限することの根拠づけ、理論化を、法と経済学の視点から進めたことにある。
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