2009 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル時代における文化産業―ビジネス環境の変化と創造性のマネジメント
Project/Area Number |
18330054
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河島 伸子 Doshisha University, 経済学部, 教授 (20319461)
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Keywords | 著作権法 / 広告産業 / コンテンツ産業 |
Research Abstract |
本年度は、各論としては、第一に、広告表現制作における環境変化(メディアの多様化、視聴者の拡散化、情報のデジタル化などの現象、および企業における広告費の削減、流通と製造業の関係の変化など)が表現制作に及ぼしている関係について分析した。また第二に、毎年進めてきた著作権の経済分析について、著作者人格権の問題に焦点をあてて、デジタル時代における著作者人格権の制限をどのように根拠づけることができるかを調査して論文を執筆した。 また、本年度は最終年度にあたるため、全体をまとめ、著書を出版した。同署では、コンテンツ産業全体のグローバルな動向をとらえつつ、各業界の特徴とダイナミクスを、経済学・地理学・法学等における研究成果を利用しながら解説し、創造性にとっての今後の課題を考えた。 具体的には、第I部では、文化経済、コンテンツ産業論への入門を行った。コンテンツ産業という新しい言葉により、映画や音楽などの娯楽・文化・メディア産業をひとまとめにとらえるようになってから10年以上にはなるが、このように一つの産業として注目されるようになったのはなぜか。背景にある経済のグローバル化、都市政策の変化などを読み解きながら、コンテンツという財の特徴とそこから導かれる、さまざまな経営上の課題を指摘した。第II部では、この産業の持つ経営の仕組み、労働やスキルの内容、これを取り巻く法的,政治的・経済的環境とその影響、などの観点から、コンテンツ産業を分析した。今後、コンテンツ産業を発展させたり、それを核とした創造都市づくりをするためには、まず、さまざまな点から、この産業自体を深く理解することが不可欠だからである。分析の中心となるのは、ハリウッドの仕組みであるが、それに対するオルタナティブを提供しようという動きにも注目する。続く第III部も同様の目的から、映画、音楽など個別の産業に特有の事情や経営・政策上の課題を説明した。
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