2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学を核とした知識集約型地域経済振興策の政策評価手法に関する実証的研究
Project/Area Number |
18330058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 克哉 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (20163660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 由希子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (00361676)
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Keywords | 技術移転 / 産学連携 / 地域振興 / 知的財産 |
Research Abstract |
研究の目的は、大学を核とする知識集約型の地域経済振興策について、具体的かつ実践的な政評価モデルを提案し、政策目に即し、しかも地域特性に適った地域振興を図ることである。(この場合「政策評価」とは、採択評価・中間評価・終了評価を含む広義に用いている。)本研究期間中に、文部科学省施行にかかる各種地域科学技術振興施策(知的クラスター創成事業、都市エリア産学官連携促進事業等)に関する全データの分析を実施するとともに、各地域及び各関係セクター(文部科学省などの官庁、コーディネータ・実施機関などの非営利組織、自治体、企業、および大学)におけるヒアリング調査を積極的に実施するとともに、とりわけ海外の注目事例に関して、極めて精力的な実態調査を展開した。具体的には、知的クラスター創成事業の1期が終了したため、本施策が抱えた実際の問題点を分析した。分析結果は、国内外学会にて発表を行った。海外における地域振興のあり方について、イギリス(ロンドン・オックスフォード地域)、スウェーデン(ストックホルム地域)、米国(西海岸・中西部地域)にてヒアリング調査を行った。イギリスオックスフォード地域では、Oxford大学の技術移転機関と意見交換を実施し、各国における施策の違いについて、特に「地域振興における大学の役割」の違いや、「ピアレビューを用いた評価手法」に関する分析を開始した。米国中西部(ウィスコンシン地域)では、大学側から見た地域振興のあり方、および役割に関する現地調査を実施した。ウィスコンシン大学では、日本における地域振興施策のあり方について、ビジネススクールにて講義を行った。得られた知見は、研究実施期間中からすべての知的クラスター実施地域にて共有され、それぞれの目指す地域振興モデル構築に関して大きく貢献した。また最終年度には、本研究実施者(西村)の呼びかけにより、全地域の関係者(総括レペルのみならず、実務者レベルの会合)会議を実施した。全地域からの実務者が集う会合は、今までにない試みであったが、今後国内外連携を模索する地域にとっては、分野の異なる地域間連携の模索や、直接執行省である文部科学省との対話実現にもつながり、非常に有意義であった。その他にも、研究者(西村)はクラスタージャパン2008にてパネリストとして出席し、地域と府省をつなぐ役割を果たしている。これらの結果を踏まえて、II期の実際の採択に向けた評価手法を検討した。なお、本手法の中には、評価項目だけでなく、評価委員のあり方も含む。また、都市エリア事業についても、地方政府負担額などの比較といった、地域自治体側からみた。 地域振興施策についての分析を実施した。さらに、知クラ事業の年度報告書についても見直しを図り、各種知見を実際の現場に活かすことを試その成果は、政策当局の目に留まるところとなり、共同研究者(西村)が文部科学省技術参与俳常勤)を兼任し、知的クラスター創成事業第1期・最終評価報告に研究上の知見を反映させるとともに、平成19年度に開始した同事業第II期の立案過程、さらに次段階施策に関する現在進行中の検討過程においても、現に活用している。
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Research Products
(5 results)