2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業のグローバル・グループ経営体制とコーポレートガバナンスのあり方
Project/Area Number |
18330089
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺本 義也 Waseda University, 商学学術院, 教授 (30062178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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Keywords | グローバル・グループ経営 / グローバル・グループ学習 / グループ本社の改革 / グループ・シナジー / ネットワーク・イノベーション |
Research Abstract |
日本企業の事業活動のグローバル化は近年急速な展開をみせている。それは、一方で、国内の多くの市場の成熟化が進展し、他方で、相対的に高い経済成長を達成している欧米先進国市場や、アジア地域を中心とする高度成長を実現する新興地域市場への進出の加速化を背景としたものである。そのため、今後、日本企業がグローバル事業を推進し、高い成果を実現するためには、「有効なグローバル・グループ経営体制とコーポレートガバナンスの構築」とが喫緊の課題となっている。本研究では、その課題を解明するために、グローバル・グループ本社を含む、「グループ企業間の連携構造」という基本的な視点を設定した。さらに、グローバル・グループ経営の対象が、ネットワークとしてのグローバル企業であるということを明らかにすると共に、企業ネットワークによるイノベーションを実現するためのグローバル・グループ・マネジメント及びそこでのグローバル・グループ学習を促進するための学習コアとしての本社改革の必要性を指摘した。次に、こうした基本概念と分析枠組みに基づいて、日本の代表的なグローバル・グループ企業4社のインテンシブな事例研究を実施し、そこでの現状と課題を解明した。また、これと並行して、東証一部上場企業を対象とするアンケート調査を実施し、全体的な傾向を明らかにした。以上の一連の研究の結果、日本企業のグローバル・グループ経営体制とコーポレートガバナンスの構築には、なお多くの課題が存在することを明らかにし、その課題の本質がグローバルなグループ企業間の組織学習とイノベーションの促進という事柄に関わること、及びそのためには、世界の多様性・異質性(global diversity)を積極的に受け入れ、それを全体最適に結びつける組織としての寛容さ(organizational tolerance)が求められるという示唆を導出した。
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