Research Abstract |
1.本研究の目的は,既婚有子女性の就業(就業継続)にとって,パーソナルネットワークがどのような効果を持つのか,どのようなネットワークが支援ネットワークとして機能するのか,また,既婚女性が就業(就業継続)することが少子化に対して直接的な効果を持つのかどうかといった諸点を明らかにすることにある. 2.この研究目的に沿って,18年度は東京都下の複数の幼稚園・保育所(園)に協力を依頼し,実際に子育てをしながら就業している既婚有子女性に対し,支援ネットワークの状況,子育て支援への要望等について尋ねる調査票調査を実施した.この調査は,平成19年度に実施予定の本調査のプリテストとして位置づけられるものである.調査対象者は1,000人,回収票364票,回収率は36.4%であった.ここで得られた結果は,子育て中の女性就業者の結果であるため,平成19年度に実施予定の本調査の調査票作りにきわめて有益な効果を持つと期待できる.現在,データ入力は済んでおり,単純集計が出ている状態である. 3.平成18年度の交付申請書を提出時には,調査対象都市として福岡市・広島市・神戸市を第一候補として想定し,これらの都市で大量サンプルに対する調査票調査を実施する予定としていた.しかし,平成18年11月に,公職選挙法・住民基本台帳法が改正され,サンプリングがかなり困難となり,従来のような大量サンプルを調査対象者とする調査票調査は,きわめて困難な状況となってしまった.そのため,調査課題を遂行するための新たな実査の方法について協議を重ねるとともに,情報を収集して,一定量のサンプリングが可能な大都市,特別区を複数,選定した. 4.これらの選定した複数の大都市,東京都下の市区町村について,国勢調査等の人口学的・社会経済的データ分析を行った結果,東京データの分析において,きわめて特徴的な3つの主成分(第1主成分=階層特性,第2主成分=都市化特性,第3主成分=移動特性)を得ることができた.この主成分分析の結果から,対照的な特性をもつ地域として,世田谷区と足立区,荒川区を設定することが可能であることが明らかとなった. 5.19年度は,18年度のプリテスト結果,主成分分析結果を参考に,調査地を選定し,調査票調査を実施する.
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