2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国内漢族・モンゴル族・朝鮮族の言語文化変容に関する社会言語学的研究
Project/Area Number |
18330110
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
李 守 Showa Women's University, 生活科学部, 准教授 (80276617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 喜之 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50307071)
呼和 巴特爾 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80338540)
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Keywords | 言語学 / 社会学 / 中国語 / 外国語 |
Research Abstract |
研究代表者は、昨年度の現地調査によって得られた知見をもとに、東北三省と称される、約200万人の朝鮮族が居住する地域において、各省の朝鮮族が従来、共同して朝鮮語規範を定めてきたにもかかわらず、綴字法の統一が崩れつつある現状について、6月に行われた日本言語政策学会において発表した。中華人民共和国の建国以来、朝鮮族は朝鮮民主主義人民共和国の言語規範をほぼ全面的に受容してきたものの、1992年の大韓民国との修交以来、南北朝鮮の言語規範の間で朝鮮族が動揺している現状を報告した。 中国の民族政策は憲法と民族区域自治法を根拠としているにもかかわらず、民族区域自治制度は1950年代後半から続いた「地方民族主義批判」および「文化大革命」による混乱が収束するまで、約20年間、ほとんど有名無実であった。朝鮮族は文革終了後、人治ではない法治の体制を確保するために、いちはやく「自治条例」を制定した。研究代表者は、延辺朝鮮族自治州における最高学府である延辺大学に客員研究員として滞在し、「語言文字工作条例」を入手して、同条例が制定された経緯と意義について論文にまとめた。研究分担者も内モンゴル自治区におけるモンゴル文字の問題を中国における文字改革と関連づけ、ウランバートルにおける国際研究大会にて発表した。 辺境地域の景気浮揚を目的とする「西部大開発」によって、民族文化の保持と経済的発展との狭間で試行錯誤する少数民族のモノグラフィーとして、本研究の意義がある。
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