2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族再統合へのファミリーソーシャルワーク実践についての研究
Project/Area Number |
18330130
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 正 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90217860)
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Keywords | 子ども虐待 / 家族再統合 / グループワーク / 司法臨床 / 脱学習 / 問題解決型アプローチ / 認知行動療法 / 家族援助 |
Research Abstract |
大阪市児童相談所と連携して、虐待する親へのグループアプローチを実施した(平成18年10月から平成19年3月にかけて、合計10回開催)。虐待する親への家族再統合的な援助実践として位置づけたグループワークである。今年度の試行的実践から、行動変容へむけての重要な視点は以下のようであると考えている。 第1に、動機づけられていない当事者を対象にすることの理論的な援助モデルの構築の必要性についてである。とくに、何らかの強制力を用いた介入後の援助的な関わりにおける治療同盟の形成に際して、「動機形成面接技法」がとくに重要な課題となる。この際に、外部と連携した取り組みが有効に機能すると思われる。 第2に、それまでに身につけた親であることの意識や態度を変更する「スキル志向的な援助実践」がそこに組み込まれるべき点である。具体的には、ソーシャルスキルトレーニングや怒りマネジメント、ライフスキルトレーニングなどの自己統制訓練の効果的な導入、内観などによる自己覚知の促進、葛藤解決型の問題対処能力の向上への援助のモジュール化による脱暴力行動プログラムとしての体系化が有益かっ必要であると思われる。 第3に、認知的かつ行動的な変容を促進させるための手順を踏んだ実践が体系化されることの必要性である。プログラムをいくつかの段階に区分けし、その都度の到達目標を設定し、徐々に自己覚知から、対人関係へと移行し、暴力への謝罪、責任の引き受け、脱暴力的態度の維持、社会性の再形成をめざす「認知行動変容プログラム」として体系化することが大切であると思われる。 これらを満たすアプローチを理論化する際に、アンドリュー・ターネル氏をオーストラリアより招き、「セイフティ・アプローチ」論について研鑽を深めた(平成18年11月)。問題決志向的アプローチあるいは短期療法がこうしたクライアントには有効であるとの判断による。
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