2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族再統合へのファミリーソーシャルワーク実践についての研究
Project/Area Number |
18330130
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 正 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 教授 (90217860)
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Keywords | 子ども虐待 / 認知行動療法 / 社会臨床 / 男性性 / 父親問題 / 社会病理 / 家族再統合 / ファミリーソーシャルワーク |
Research Abstract |
大阪市中央児童相談所と連携して、虐待する家族への脱暴力にむけた行動変容への多元的な援助モデルを構築することを目的とした研究である。改正児童虐待防止法のうたう「家族再統合」を具体的なグループワーク手法を用いて臨床実践して得た知見をもとにして、子ども虐待研究における親へのアプローチについて、その理論と技法について臨床社会学的な研究を積み重ねた。家族という関係性を地平にして実践されるので、心理社会的な相と親たちの家族心理史的な相を射程に入れた。アクションリサーチの手法にもとづく研究としてデザインをしている。2008年度は月2回、合計24回のグループワークを実践した。並行して、4組の家族については個人面談を実施した。今回の研究では、ニュージランドやイギリスにおける司法臨床、加害者臨床の最新の理論モデルであるGLM(good life model)を応用してみた。家族臨床的な援助実践からの知見をまとめ、グループワークの内容の検証をおこなうことに主眼を置いた。男性性研究、集団療法研究、家庭内暴力研究、加害者臨床(司法臨床)が交錯する独自な主題と対象を確定することができた点、そしてそこに向けて臨床社会学な知見を用いた援助技法が開発できつつある点が、今年度の成果である。なかでも、虐待する父親の世代間行動連鎖や中和化の言説の分析をもとにして構築した「当事者の世界に降り立つアプローチ」は治療同盟を築く上では効果のある手法であることも見いだせた。
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