2009 Fiscal Year Annual Research Report
日韓公的扶助におけるワーキングプア対策としての自立支援の在り方に関する比較研究
Project/Area Number |
18330131
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
下村 幸仁 The University of Aizu Junior College Division, 社会福祉学科, 教授 (20412942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 永子 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (50161550)
丹波 史紀 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70353068)
山田 壮志郎 岐阜経済大学, 経済学部, 准教授 (90387449)
五石 敬路 東京市政調査会, 研究部, 主任研究員 (30559810)
金 碩浩 日本福祉大学, 社会福祉研究科, 博士後期課程大学院生 (70424942)
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Keywords | 社会福祉分野 / 貧困問題 / 比較公的扶助 / ワークフェア / 就労支援 |
Research Abstract |
本研究は、わが国の生活保護制度において、2005年度に新たに導入された自立支援プログラムを利用者側の視座から権利的に捉え直すことにある。そのために、自活支援策として先駆的に取り組んでいる韓国の制度の実施状況を検証し、比較的に検討することに目的がある。 2009年度の研究計画における研究成果の一つとして、就労支援専門員に対する就労支援に関するアンケート調査の実施がある。自立支援プログラム導入から5年を経過しようとするなかで、その専門性と経験は不十分な状況にある。その要因として不安定な身分(非常勤嘱託等)が挙げられる。また、支援対象者への評価として一般就労に至らない福祉的就労やボランティアなど多様な就労形態への評価基準が求められている。 つぎに、韓国の自活後見機関へのヒアリング調査であるが、本年度は自活事業から発展し社会的企業とし成長著しい社会的企業(SE)であるCOMWIN(京畿道)と「共に働く世界」(ソウル)への調査を実施した。前者はサムスン、LGなど大手コンピュータ会社と提携してリサイクル事業を手がけており、京畿道において国民基礎生活保障法からの自立を促進している。また後者は、清掃事業を手がけており、仕事の丁寧さや質の高さで一般企業と競争し、市場価格よりも一段高い金額で契約している。これまでの自活事業から社会的企業育成法により社会的企業へと発展させることに、自立困難層への就労インセンティブを付与することの重要性がある。 また、中央自活センターでは、李明博政権後に強調されている成果主義型モデル事業について調査し、わが国での自立支援プログラムを利用者本位に評価検討する際の有効な手がかりとすることができたことに意義がある。 そして、研究最終年度にあたり3月21日に、韓国から「共に働く財団」の李恩愛事務局長と都市研究所の徐鐘均研究員の2名を招聘し、東京大学においてシンポジウムを開催(「制度の谷間に置かれた要援護者の地域での支え合い、社会的自立、雇用創出に関する研究」研究会との共催)した。
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