2006 Fiscal Year Annual Research Report
格差社会での協同:格差解消にいたる基礎過程の解明と処方的研究への展開
Project/Area Number |
18330133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐沢 かおり The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (50249348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸山田 和久 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90217513)
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
藤井 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80252469)
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Keywords | 格差 / ステレオタイプ / 責任帰属 / 社会的認知過程 |
Research Abstract |
下記の3テーマについて研究を実施した。 1.優位・劣位な立場間での格差認知バイアス研究 優位な立場と劣位な立場により、格差の大きさ、根拠、格差がもたらす結果に対する判断がどう異なるかを検討し、格差認知バイアスが生じる社会的認知過程と、バイアス量に影響を及ぼす要因を同定した。具体的には、高齢者、女性の就労環境を対象に、就労が困難であることの責任帰属や、立場への共感、ステレオタイプ的信念の影響を検討するための調査を実施した。その結果、これらの変数が、いずれも格差認知バイアスの生起に寄与していることが明らかとなり、格差認知過程モデルを構築する基盤となるデータを得た。 2.優位・劣位な立場にある自他に対するステレオタイプ的判断過程研究 性ステレオタイプに焦点を当てて、ステレオタイプ的判断を統制する要因について、情報処理の自動的過程と統制的過程のそれぞれの観点から検討した。自動的過程については、罪悪感活性化の影響と、平等主義的社会規範の活性化の影響を、また、統制的過程については、ステレオタイプ的判断の正当化機会の影響を検討した。自動的過程については、罪悪感活性化よりも、平等主義的規範活性の効果がより強く認められることが示唆され、また、統制的過程については、正当化機会の提供により、ステレオタイプ的判断が維持されることが示された。 3.協同にかかわる社会的認知の基礎的過程研究 協同の条件の一つである自己制御過程、および、協同に向けてのメッセージ理解過程に焦点をあて、制御資源や感情活性の観点から検討した実験により、協同行動を促進に及ぼす要因の役割を明らかにした。
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Research Products
(5 results)