2008 Fiscal Year Annual Research Report
モバイル・インターネットを利用した社会参加に関する実証的研究
Project/Area Number |
18330135
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
宮田 加久子 Meiji Gakuin University, 社会学部, 教授 (00184416)
|
Keywords | オンライン・ディスカッション / 社会関係資本 / 社会参加 / 信頼 / 熟議 / 社会的ネットワーク / インターネット |
Research Abstract |
民主主義の維持・促進のためには市民による政治的争点についての熟議deliberationが重要であり、平成19年度の研究ではオンライン・ディスカッションの実験を実施した。その結果、オンラインでの政治的議論への参加が争点への理解を精緻化し、かつ相手の立場についての理解を高め、社会的寛容性を高めることが明らかとなった。そこで、平成21年度には、実験参加者がその後の2年間の間に政治的議論への参加や一般的な社会参加が促進されたのか、社会的ネットワークや信頼性、社会的寛容性が変化しているのかを明らかにするためにフォローアップ調査を実施した。実験参加者中、今でも連絡が可能な144名を対象にオンライン調査への回答を依頼し95名の回答を得て、分析を行っている。次に、オンラインでの政治的熟議が、政治的関心や政治的知識の増大を媒介して社会参加を促進するのか、また、オンラインでの政治的熟議への参加を規定する要因として、社会的ネットワーク・信頼という社会関係資本関連の変数がどのような効果をもつのかを検証するために、平成21年度に新たに首都圏および近畿圏の1都2府7県に在住する20歳~59歳の男女を対象にオンライン調査を実施した。具体的には、5550サンプルに調査依頼をし、1087サンプルの回収をした。そのうち、年代と性別で8セルに分け、各セル125サンプル、合計1000サンプルを分析対象とした。なお、この調査では、オンラインと対面での政治的熟議を分けて調査したことにより、それぞれの効果や規定因の相違点を明らかにすることが可能となり、今後の政治参加促進の要因として期待されるオンライン・タウンミーティング等のオンライン・ディスカッションの効果や問題点を明らかにできるという意義がある。また、実験やフォローアップ調査の結果と併せて分析することで、より一般化した知見が得られると期待される。
|