2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330136
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
中谷内 一也 帝塚山大学, 心理福祉学部, 教授 (50212105)
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Keywords | リスク認知 / 信頼 / リスク管理 / 価値類似性 |
Research Abstract |
統合信頼モデルでは、社会的信頼の規定因がその個人の当該問題に対する関与の強さによって変化すると考える。たとえば、「街頭カメラを設置するかどうかの判断を警察に委ねるべきか」という問題で考えると、この問題に強い関心をもつ人は、「この問題をどのようにとらえ、どのような要素を重視し、どのような結果を選好するかということ」、すなわち「価値」が自分と警察とで一致していれば警察を信頼するし、一致していなければ信頼しないと予測する。一方、この問題への関心が薄い人は、警察が有能で誠実であれば信頼して任せようとするし、能力が低く不誠実なら信頼しないと予測する。今年度はこのモデルについての実証的検証を行った。上記の街頭カメラの設置を問題として取り上げ、それについての判断を委ねたいひとりを実験者が用意した候補者の中から選ぶという課題を実施した。情報モニタリング法により、実験参加者の情報獲得プロセスから選択過程を検討したところ、子供を持つ母親は価値の類似性を判断基準として、信頼しうる対象人物を絞っていく傾向が、未婚の学生たちよりも強いことが示された。この結果は、関与の高い人たちの方が価値類似性によって信頼が規定されるという、上述の統合信頼モデルを支持するものであった。続いて、無作為サンプルを対象とした社会調査を実施し、「価値類似性評価」、「能力評価」、「誠実さ評価」のうち、警察への信頼をもっとも説明する変数は何なのかを検証した。この問題への関心の高いサンプルと低いサンプルを抽出し、重回帰分析を行った。仮説では、関心の高い人は価値類似性評価が、低い人は能力評価や誠実さ評価が信頼と強く結びつくと予測されたが、結果は部分的にしか仮説を支持しなかった。なぜそのような結果が得られたのかを考察しながら、モデルを再検討した。
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