2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330136
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
中谷内 一也 Tezukayama University, 心理福祉学部, 教授 (50212105)
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Keywords | 信頼 / リスク / 喫煙 / 主要価値類似性モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、政府機関や企業、各種マネジメント責任者など、公的な対象に対する人々の信頼がどのように決まるのかを明らかにすることであった。より具体的には、能力認知と誠実性認知を中心に置く伝統的な信頼規定因についてのモデルと、価値共有性認知を強調する主要価値類似性(SVS)モデルとを理論的に統合し、実験と社会調査を通じてモデルの検証を行うことであった。本年度は、昨年度実施分の全国社会調査のデータを分析しつつ、地域問題を扱う社会調査を実施した。統合信頼モデルは、(a)価値共有制認知、能力認知、誠実性(公正性)認知のうち、もっとも信頼を強く規定するのは価値共有制認知であること、(b)価値共有制認知の信頼説明力は、個人にとってのその問題の重要性に対応すること、(c)能力認知と誠実性(公正性)認知のプライオリティはリスク問題の性質に応じて変化し、リスク対応策を社会的コンセンサスを得ている場合は能力認知が、一方、リスク対応策への社会的に賛否が割れている場合は、誠実性(公正性)認知の信頼規定力が強まること、を予測する。モデルの説明力を検証するため、たばこ規制策を行う政府への信頼をとりあげて、Taspoなどに示される未成年喫煙防止というリスクコントロール、たばこ税増税によるリスクコントロール、の2つの政策をめぐる人々の評価を調査した。未成年の喫煙防止は社会的なコンセンサスの得られているたばこ規制策であり、一方、たばこ税増税は賛否が分かれているたばこ政策である。データ分析の結果は、おおむね、統合信頼モデルから演繹される仮説を支持するものであった。
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Research Products
(6 results)