2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期における社会的認知の発達と障害に関する縦断研究
Project/Area Number |
18330139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大神 英裕 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 教授 (20020141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 知靖 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
橋彌 和秀 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 助教授 (20324593)
山下 洋 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20253403)
大野 博之 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (00037037)
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Keywords | 縦断調査 / 共同注意 / 社会的認知 / 広汎性発達障害 / 初期徴候 / 早期支援体制 / 移行問題 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究は、生後8ヶ月から就学期までの長期にわたる縦断調査を実施し、社会的認知の定型発達過程を解明する前方向視研究と、広汎性発達障害(PDD)などの障害が医学的に確定診断された事例について後方視研究を行うことによって、PDDの初期徴候を解明することを目的としている。併せて、早期発見後の効果的な地域フォロー体制の構築も重要な目的としている。 こうした観点から、本年度は以下のような研究課題に取り組み、重要な成果を得た。 (1)縦断調査の解析 8ヶ月から60ヶ月までの縦断データ(899人)について項目反応理論により個々人のコミュニケーション能力の発達的推移を分析・検討した。その結果、定型発達群では、加齢とともに能力値は漸増していくが、PDD群は生後16ヶ月頃から遅れ始めてくる。そして、18ヶ月には共同注意の不全を中心とする初期徴候が明らかとなる。その後、3歳以降から5歳頃になるとPDDの臨床像は多彩になり、能力値の個人差も大きくなる。このPDDの個人差は、障害特性に由来する自閉スペクトラムの違いによるものなのか、早期介入の効果によるものなのかは、まだ明確ではない。 (2)発達支援体制の構築 早期発見後のフォロー体制として、1歳半健診後、要フォロー児にたいし段階的な発達支援を実施した。さらに、一事例に他職種の専門家が介入する集団集中方式の療育研修キャンプを実施し、事例の特性・移行問題への対処法、特別支援計画など包括的な支援のあり方を地域で共有することを目指した。その結果、新たな地域支援モデルを提案するに至った。こうした研究実績が認められ、研究協力をしてきた前原市は、文部科学省の「平成19-20年度発達障害早期総合モデル事業」の指定を受けることになった。
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