2007 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴う抑制・記億・前頭葉機能の変化に関する研究:介入研究を基礎にして
Project/Area Number |
18330142
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 甫 Ritsumeikan University, 文学部, 教授 (80094085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 信元 白百合女子大学, 文学部, 教授 (90002295)
泰羅 雅登 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (50179397)
古橋 啓介 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (70125780)
大川 一郎 筑波大学, 人間学群, 教授 (90241760)
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 教授 (40217328)
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Keywords | 高齢者 / 展望記憶 / 前頭葉 / 記憶課題 |
Research Abstract |
地域で自立して暮らしている高齢者を対象にした介入研究をおこなっている。平成19年度は、これら学習者を実験群とし、こうした学習を組織的に受けていない自立した高齢者を対象群とした比較の研究をおこなった。介入研究としては、1回あたり15〜20分程度の音読とやさしい計算を主体にした学習である。この学習を週に3回、半年間継続しておこなった。学習開始直後を事前査定、半年後を事後査定とした。査定の内容としては、記憶課題、これには短期記憶、長期記憶、作業記憶、展望記憶などの課題を実験的な形で提示した。さらに、抑制機能としては、SRC課題を実施し、またNIRSによる前頭葉のイメージングの実験をおこない、最後に日常生活の失敗傾向などを査定した。対照群の事後査定が終了したばかりであり、すべての結果が出そろっていないが、得られている結果は、きわめて興味あるものである。その1つとして、展望記憶での結果をここに示す。展望記憶課題は、背景課題として1種類を用意した。1つは、自由再生課題であり、もう1つは単語の判断課題である。これら課題を遂行しながら、実験開始5分経過毎に指定したキーを押すように要求した。正答数から結果を整理してみると、背景課題が自由再生の時も、また単語判断課題の時も、同じような結果が得られた。つまり、学習群は、事後査定では事前に比べて正答数が有意に増加していたが、対照群では事前から事後への変化は有意ではなかった。また課題での処理要求が高い自由再生課題の方が、処理の要求が低い単語判断課題に比べて、その上昇率は高かった。こうして、通常の加齢では低下する一方の展望記憶で、介入が低下ではなくその逆である、上昇をもたらすことが示された。
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