2007 Fiscal Year Annual Research Report
能動的動作と視覚的注意の相互作用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18330155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 利章 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (00116104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 一光 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (60260642)
木村 貴彦 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (80379221)
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Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 / 行為 / 注意 |
Research Abstract |
垂直方向における視覚的注意の配分に関して行為が及ぼす影響を検討した.これまでに課題が遂行される空間や課題において主となる運動系の違いがその非対称性に影響すると提案されている.本課題での行為とは,ポインティング課題とマウス課題であった.観察者が行うのは視覚探索であった.結果,ポインティング課題では全ての偏心度条件で垂直領域間に有意な差は見られなかった.マウス課題では偏心度内,中条件で,探索時間は上半視野において下半視野におけるよりも有意に短かった.マウス課題では偏心度が小さい場合に上半視野で探索時間が短いことが示され,Previc(1996)の結果と一致した.一方でポインティング課題では垂直領域間の差は有意ではなかった.このことは,ポインティング動作を行う場合に視覚的注意配分の上半視野へのバイアスが小さくなったことを示唆する.ポインティング課題の結果に関しては,スタート位置が常に視野下側にあったことの影響が考えられる.運動開始位置に近い領域に注意が多く配分されている(Tipper et a1.,1992)という可能性である.また,ポインティング課題では毎試行手の選択が要求された.このことが全体的な課題要件を高め,注意配分の偏りをもたらさなかった可能性があった.次に,ポインティングを行う際の開始位置の効果を検討するために,探索場面の上下2箇所に運動開始位置を設定した.その結果,ポインティング課題の運動開始位置 の効果は,垂直方向における注意配分に関しては顕著ではなかった.これらのことから,従来示されていた視覚探索事態における注意配分の上半視野へのバイアスが,ポインティング動作を行うことで小さくなることが示唆された.また,行為が運動物体の表象に及ぼす影響について,昨年度の実験を実験参加者数を増やした上で検討を重ねた.
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