2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの少子高齢化と民衆の生育意識に関する教育学的研究
Project/Area Number |
18330165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牧野 篤 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (20252207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敦子 (新保 敦子) 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90195769)
鐙屋 真理子 (一見 真理子) 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 統括研究官 (20249907)
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Keywords | 教育学 / 少子高齢化 / 東アジア / 生育意識 / 高齢者の価値観 / 高齢者教育 |
Research Abstract |
本研究課題第2年目の今年度(平成19年度)は、昨年度に行われた少子化の歴史的把握に引き続いて、東アジア各国・地域の高齢化の現状と歴史、および課題についての検討を進めた。明らかになったのは、以下の点である。(1)高齢化の歴史と原因について/(1)東アジア各国・地域が経済発展の度合いに関わらず等しく急激な高齢化に見舞われていること。(2)それは高齢化に先立つ20年から30年前の急激な少子化が原因であること。(3)少子化の原因は経済発展と学歴社会の形成による経済的負担がもたらす民衆の生育意識の変化であること。(4)中国ではいわゆる「一人っ子政策」による人口抑制が行われたが、政策的意図を超えて少子化と高齢化が深刻化していること。(2)高齢化の現状と課題について/(1)東アジア各国・地域の高齢化は日本のスピードを上回る速さで進んでいること。(2)高齢化のスピードに社会の変化が対応できないこと。(3)高齢者イメージは、いわゆる近代産業社会のもののままであること。(4)高齢者の社会的負担の急増に対して各国・地域は苦戦していること。(5)高齢者を新たな社会資源ととらえるための社会的構造の変革が求められること。(6)その基本は、民衆の高齢者観の変革であること。(3)高齢者の意識とあるべき社会の姿/(1)高齢者は自らの自律的である必要を感じており、かつ若い世代との交流を望んでいること。(2)尊厳と生きがいさらには社会貢献をその存在のイメージとして持っていること。(3)余生を送る存在から、社会の新しいステージに立つアクターとしての自分を作り上げたいと願っていること。(4)高齢社会は、彼らの意識を受け止めて、新しい高齢者像を造り出し、この高齢者像を実現するためのシステム構築をする必要があること。(5)その基礎は、人々の観念の変革=教育的課題であること。
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