2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの少子高齢化と民衆の生育意識に関する教育学的研究
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18330165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 篤 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 教授 (20252207)
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Keywords | 教育学 / 少子高齢化 / 東アジア / 生育意識 / 高齢者の価値観 / 高齢社会コーディネータ / 高齢社会インタープリター |
Research Abstract |
本研究課題第3年目の今年度(平成20年度・最終年度)は、過去2年間の研究成果と課題を総括するとともに、少子高齢化が急速に進む東アジア地域における新しい社会の構想について検討を進めた。これまでの研究で明らかとなった高齢者の意識とあるべき社会の姿は、以下の通りである。(1)高齢者は、自ら自律的である必要を感じており、かつ若い世代との交流を望んでいること。(2)尊厳と生きがい、社会貢献を存在のイメージとして持っていること。(3)社会の新しいステージに立つアクターとしての自分を作り上げたいと願っていること。(4)高齢社会は、彼らの意識を受け止めて、新しい高齢者像を造り出し、この高齢者像を実現するためのシステムを構築する必要があること。(5)その基礎は、人々の観念の変革=教育的課題であること。これを受けて、新しいコミュニティ作りを進める場合の基本的な考え方について検討を進め、以下の構想を得た。(1)高齢者を社会の能動的なアクターとして位置づけるためには、社会の価値観の転換が必要であること。(2)高齢者自身に対するエンパワーメントと社会へのインスパイアが求められ、既存の社会的な資源(NPOやボランティア、行政、民間企業など)をコーディネートして、高齢化に対応した社会システムを構築するための専門職として、高齢社会コーディネータの育成が必要であること。(3)高齢者の持つ価値観と彼らを受け入れる社会の価値観との間の橋渡しをする必要があり、そのための専門職として、高齢社会インタープリターの育成が求められること。(4)高齢社会コーディネータが社会資源を高齢化対応に組み換えるとともに、高齢社会インタープリターが高齢者と社会との橋渡しをすることで、高齢者自身を社会の能動的アクターへと形成することを目指し、新たなコミュニティの形成を進めること。
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