2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害児者の動的な対人認知過程に関する眼球運動指標を用いた基礎研究
Project/Area Number |
18330197
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
安達 潤 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (70344538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (50344544)
萩原 拓 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (00431388)
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 動的対人認知過程 / 眼球運動 |
Research Abstract |
【実績概要】(環境設定)アイトラッカーの使用環境を整備した。(実験1)「対話ペア判断実験」:H16-17萌芽研究の眼球運動(EM)データを専用ソフトウエアで解析した。(実験2)対人交流のある映画場面視聴時のEMデータを記録・解析した。【方法】検査対象は実験1の高校生1名を除いて、両実験とも成人である。(実験1)H17萌芽研究実績報告のEMデータ(AS7名,NT12名)を解析した。EMデータと合わせるためRTデータと正答率データにH17報告で除外した2名のASデータを含めた。(実験2)2種類の映画場面の自由視聴時EMをAS11名、NT21名で記録した。【結果】(実験1)(1)エラー率:統制条件(AS2.3%,NT3.5%):n.s.,実験条件(AS9.5%,NT1.7%):有意。(2)RT:統制条件(AS9.49sec, NT4.73sec):有意,実験条件(AS18.84sec, NT11.71sec):有意。(3)注視数:刺激内3フレーム(A者,B者(1),B者(2))の注視数分布はASとNTで同じ傾向を示したが、注視数はASの方がNTよりも多かった。またフレーム間の注視移動パターンはNTの方が明瞭で、ASではパターンがはっきりしない傾向が認められた。(実験2)ASはNTよりも平均注視数が多く、平均注視時間が短い傾向にあった。場面の領域(顔、身体、背景の物)に対する注視の集中領域は、NTではおおむね顔領域であったが、ASではそのほかに、身体や背景にある「物」へ注視が集中する場面が認められた。さらに注視移動パターンについては、ASでは、登場人物の「顔」から「顔」への移動がNTに比べ少なく、逆に「背景」から「背景」への移動がNTよりも多かった。【考察】両実験より、ASはNTに比べて、動的対峙認知場面で注視数が多い一方、一回の注視で得る情報量が少ない可能性が示唆された。両実験におけるASとNTの注視パターンの違いは、ASがNTに比べて、動的な対人交流場面についての解釈仮説を立てづらい可能性を示唆している可能性があると思われた。
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Research Products
(1 results)