2006 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚認知障害を伴う軽度発達障害者の大学入試(ヒヤリング)の在り方に関する研究
Project/Area Number |
18330201
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
出口 利定 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50143623)
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Keywords | 軽度発達障害 / 聴覚認知障害 / 大学入試 / リスニング / 特別措置 / 単音節明瞭度試験 |
Research Abstract |
時間伸張(1.5倍)した教材用の英語音声(加工音声)を聴取させ、時間伸張の成果=成績の向上を実験的に検討した。被験者は知的な遅れはないものの、不登校や学校不適応等の為にフリースクールに通っており軽度の発達障害を持つと診断された児童・生徒、及び、知的には遅れはないが同様な理由により公的教育機関に通っている健常生徒である。 まず、日本語単音節明瞭度試験(日本聴覚医学会)を実施し、その成績によって2つのグループに分けた。そのグループそれぞれに対して時間伸張した英語音声と時間伸張なし(原音)の英語音声のリスニングテストを実施した。リスニングの内容は、中学校1年生の教科書に準拠した教材用テープを使用した。課題は、単文を聴き、そのなかの1つの単語を抜いた文の穴埋め問題(10問)と、単語の聞き取り(10問)である。 その結果、日本語単音節明瞭度試験の聴取成績が健聴者の平均の範囲内にあるグループでは、時間伸張した英語音声のリスニング成績に変化はなかった。つまり、時間伸張(ゆっくり話しても)してもその効果はみられなかった。 一方、日本語単音節明瞭度試験の成績が健聴者の平均よりも劣るグループにおいては、明らかに時間伸張した英語音声のリスニング成績に顕著な向上がみられた。つまり、時間伸張した英語音声のヒヤリングの効果は、日本語単音節の聞き取りが苦手の被験者に有効であったことが判った。
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