2007 Fiscal Year Annual Research Report
語用障害の補償が高機能広汎性発達障害をもつ子どもの伝達技能の習得に及ぼす影響
Project/Area Number |
18330202
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 Kanazawa University, 教育学部, 教授 (70116911)
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Keywords | 高機能自閉症 / アスペルガー症候群 / 語用障害 / 質問応答 / 補償 |
Research Abstract |
高機能広汎性発達障害の子どもとの会詞話における質問応答の特徴について検討した。まず、大人と子どもの会話の微視的な分析によって、疑問詞質問が主として子どもの発話意図や行動の計画など認知的ないしメタ認知的な活動について問い合わせており、子どもがそれらに適切に応答できないのに対し、おとなのはい/いいえ質問は子どもの道具的な行為の意図をたずねており、子どもにとって応答が容易であった。これは現在国際誌に印刷中である。次に、この関係をより多数の子どもで確認するために、高機能広汎性発達障害群、コントロール群各12名について半構造化場面の会話資料を収集し、母親の疑問詞質問とはい/いいえ質問の質問内容が、出来事に関するものか、思考に関するものかの分類、子どものそれらへの応答が、十分か、それとも意味的に不十分または語用論的に不適切か、あるいは質問の無視や無応答がどの程度あるか、などについて比較検討した。その結果、高機能広汎性発達障害群はコントロール群に比べて、疑問詞質問への意味的に不十分な応答が多く、語用論的に不適切な応答は質問形式にかかわらず高機能広汎性発達障害群が蓍しく多く、また、はい/いいえ質問への無応答が高機能広汎性発達障害群でおおいことがわかった。さらに、思考についての質問は質問形式によらす。出来事についての質問よりも不十分または不適切な応答が多かった。これについては現在国際誌に投稿中である。これらの結果を受けて、高機能広汎性発達障害群とコントロール群のナラティヴと、質問への応答の十分さ、応答失敗への母親の補償等との関連の検討を開始した。
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