2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 孝和 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70215797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 信重 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114866)
川内 毅 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (30323778)
田口 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (90231399)
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Keywords | 楕円曲線 / 有限体 / ペアリング / 明示公式 |
Research Abstract |
本年度はペアリングに基づく暗号の安全性に関する問題に関して、固定ペアリング反転の明示公式を得た。これは以前知られていた等分多項式や保型形式による表示に於いて未解決であった問題(次数の最大性、非ゼロ係数の数の評価)を一気に解決する強い研究成果である。ある楕円曲線上の固定ペアリング反転が多項式時間で評価されればその楕円曲線上の離散対数問題が多項式時間で解かれてしまうのみならず、その定義体上の通常の離散対数問題も多項式時間で解かれてしまう。本年度の研究成果は得られた明示公式は十分複雑であり、それを直接評価する方法は楕円暗号の安全性を損なうものではないということの一つの状況証拠を与えたことになる。 この成果を得るために固定ペアリング反転のラグランジェ分解式による表示が重要である。楕円曲線上には1点でのみ1位の極を持つ有理関数が存在しないことは周知の事実であるが、ある種の有理関数をとることにり、そのラグランジェ分解式が「1点でのみ1の極を持つ有理関数」が存在したら持つであろう性質を概ね持たせられる事がに成功した。ペアリング反転した点は分解式の唯一の零点として特徴づけられるが、分解式そのものは次数が巨大であり直接解を求めることはできないが、有理関数の因子の性質と形式群上における分解式の展開とを合わせることで、目的とする明示公式を得ることができた。 なお、標数が2または3の超特異楕円曲線に関しては明示公式が若干単純な形になる。直ちに楕円曲線暗号の安全性に影響するものではないと思われるが、この点は今後精査する必要がある。
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Research Products
(4 results)