2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並河 良典 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80228080)
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Keywords | 複素シンプレクティック多様体 / ポアソン変形 / 双有理幾何 / シンプレクティック特異点 / べき零軌道 / 複素単純リー環 / スプリンガー特異点解消 / 末端特異点 |
Research Abstract |
複素シンプレクティック特異点のポアソン変形および双有理幾何に関して研究をおこなった。複素単純リー環のべき零軌道の閉包(より正確には、その正規化)はシンプレクティック特異点になる。もしこのタイプの特異点がクレパント特異点解消を持てば、スプリンガー特異点解消に限る(B.Fu)。しかし、一般のべき零軌道の閉包は、クレパント特異点解消を持たない。そこで、一般のべき零軌道の閉包に対しては、一般化されたスプリンガー特異点解消を用いてクレパント特異点解消の代わりなる良い部分特異点解消(Q-factorial terminalization)が得られるであろうことを予想した。さらに、古典型のリー環に対してこの予想が正しいことを証明した。結果は、プレプリント:Induced nilpotent orbits and birational geometry(arxiv 0809.2320)としてまとめ、城崎代数幾何セミナー、COE-COW Tokyoで講演発表をおこなった。その後、この予想は、Fuによって例外型に対しても示された。一方、正の荷重をもったC^*-作用をもったシンプレクティック特異点Xの普遍ポアソン変形に関する研究もおこなった。まず、XのQ-factorial terminalization Yを1つ固定する。このとき、Yの普遍ポアソン変形空間PDef(Y)からXの普遍ポアソン変形空間へ自然な写像が存在する。PDef(Y),PDef(X)の双方が非特異であることと、この写像が有限全射であることはすでに証明済みであったが、今回、この写像がガロア被覆であることが証明できた。さらに、ガロア群を幾何学的に記述することも可能である。この結果は、プレプリント:Poisson deformations of affine symplectic varieties II(arxiv 0902.2832)としてまとめ、フランスのナント大学のセミナーで講演発表した。その他、1,2年前の結果が、本年度正式に出版された(Duke Math.J., Publ.RIMS,Kyoto,雑誌数学)。
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Research Products
(3 results)