2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 説男 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 教授 (70155208)
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Keywords | 確率解析 / 確率振動積分 / KdV方程式 / KdV階層 / 二次ウィナー汎関数 |
Research Abstract |
1.KdV方程式の初期値問題を考えるためにマルチェンコにより導入された一般化された無反射ポテンシャルはスペクトルに条件を課したものとでの無反射ポテンシャルの一様収束極限として得られる.無反射ポテンシャルは,オレンシュタイン・ウーレンベック過程から定まる総関数を持つ確率振動積分により表現できる.この確率振動積分の収束を通じて一般化された無反射ポテンシャルを捉えるには,ブラウニアンシートに基づく確率解析が必要となる,ブラウニアンシートも抽象ウィナー空間を定めるが,古典的ウィナー空間に比べこの抽象ウィナー空間の研究は不足している.ブラウニアンシートの定める2次ノルム型の相関数を持つ確率振動積分の初等関数と無限積を用いた具体表現を新たに見いだし,それを論文としてまとめ,国際学術誌Communications on Stochastic Analysisに発表した. 2.無反射ポテンシャルの最も簡単な場合である1ソリトンに対応する無反射ポテンシャルは,古くはカメロン・マルチンにより1940年代に研究された,ブラウン運動の時間に関する自乗積分ノルムを相関数とする確率振動積分と対応している.このような確率振動積分は調和振動子に付随するシュレディンガー作用素とも対応している.この確率振動積分の連立形を利用すれば,スペクトルゼータ関数などが精力的に調べられている非可換調和振動子作用素のスペクトル解析が確率論的手法で容易にとりおこなえることを見いだした.これらにっいて論文をまとめ,国際学術誌Kyushu Journal of Mathematicsで公表した. 3.広田微分と伊藤積分の関連について調べたが,符号の不一致などまだ完全な解明には至っていない.次年度への課題とした. 4,オレンシュタイン・ウーレンベック過程の定める確率面積と無反射ポテンシャルの相関について準備的な結果を得た.次年度に継続研究を行う.
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Research Products
(4 results)