2008 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式系における消散構造の特徴付けと非線形安定性解析への応用
| Project/Area Number |
18340040
|
|---|
| Research Institution | Kyushu University |
|---|
Principal Investigator |
川島 秀一 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 教授 (70144631)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隠居 良行 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (80243913)
|
|---|
| Keywords | 粘性保存則 / 粘弾性体方程式 / 板の振動方程式 / 縮退定常波 / 漸近安定性 / 時間大域解 / エネルギー法 / 減衰評価 |
|---|
| Research Abstract |
古典力学に現れる様々な偏微分方程式系に対し、系に内在する消散構造を解析するとともに、解の時間無限大における漸近挙動とそこに現れる非線形波の漸近安定性を調べ、次のような成果を得た。
1)粘性保存則に対し、半空間における縮退定常波の漸近安定性問題を考察した。あるhardy型不等式の最良定数を利用し、対応する線形化問題の空間重み付きL^2空間での消散構造を完全な形で解明した。また、その解析に基づき、空間・時間重み付きエネルギー法を適用することで、非線形問題における縮退定常波の漸近安定性を、摂動部分に対する精密な減衰評価を示すことで証明した。消散性を規定する空間重みの臨界指数を求めた点に最大の意義がある。
2)ある粘弾性体方程式系に対し、その線形化方程式系の消散構造を調べた。摩擦型の消散項と記憶型の消散項の和が系全体を支配する場合に、解のL^2空間での精密な減衰評価を示した。摩擦型、記憶型いずれか一方のみの消散性を考慮した従来の結果を拡張した点に意義がある。
3)消散性を考慮した板の振動方程式の初期値問題を考察し、対応する線形化方程式の消散構造が可微分性損失型であることを、精密な評価式とともに示した。また、その評価式に基づき、方程式が半線形の場合の時間大域解の存在とその解の線形拡散波への漸近収束を証明した。さらに、時間重み付きエネルギー法と低階微分に対する最良の減衰評価を組み合わせる手法で、方程式が準線形である場合にも類似の結果が空間2次元以上で成り立つことを示した。可微分性損失型の消散構造の解明に寄与する成果である。
|
