2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻井 正人 Kyushu University, 数理学研究院, 教授 (20251598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新居 俊作 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (50282421)
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (20304727)
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Keywords | 力学系 / カオス / 転移作用素 / 関数解析 / スペクトル |
Research Abstract |
本研究は力学系理論における関数解析的な手法を発展させる事を目標としているが,特に後半(平成20年,21年度)においては負曲率多様体上の測地流とそのゼータ関数に焦点を当てて研究をすすめている.本年度の研究の最も大きな展開は,これまで発展させてきた議論が本格的に半古典解析や量子カオスの問題と関係している事がより明らかになってきたことである.本年度の前半(~9月)は前年度に得られた接触アノソフ流の転移作用素のスペクトル的な性質をより精密化するとともに,その情報を(半古典)ゼータ関数に結びつけることを目標に進め,ほぼ予想されていた結果を得る事ができた.しかし,証明は極めて複雑な議論を含み,直感的なアイデアの単純さとはかけ離れたものになっていた.これは今後の発展を考えるともう少し基本的な部分から議論を発展させる必要を示唆していた.そして,技術的な困難がいわゆる半古典解析(または幾何光学)の中心的な課題と結びついている事から,9月から11月に欧州(ローマ,グルノーブル,パリ)において,関係する研究者と議論する事にした.特に,フーリェ研究所(グルノーブル)の数理物理学者のF. Faure氏との議論により,これまで進めて来た議論について半古典解析の議論が非常に有効に働くことがわかった.Fuare氏については3月にも九州大学に招聘して2週間議論を続け,測地流や前量子化アノソフ写像(測地流のモデル)について共同で研究をすすめる事にした.これらは今後数年間の研究の基礎となるものであり,本研究の研究成果を量子カオスの様々な問題に応用・発展させるために非常に重要である.
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Research Products
(5 results)