2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340046
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮川 鉄朗 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (10033929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 康秀 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (30192727)
井口 達雄 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (20294879)
菱田 俊明 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (60257243)
小俣 正朗 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20214223)
畑上 到 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50218476)
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Keywords | ナヴィエ・ストークス方程式 / 初期値問題 / 非有界領域 / 安定性 / 漸近挙動 / 渦 / 水面波 |
Research Abstract |
宮川は全平面および2次元外部領域における非圧縮粘性流体の非定常流を考察し,対称性の度合と時間・空間減衰性との正確な対応関係を完全に決定した.この結果を3次元流に拡張すると同時に,半空間などの非有界な境界を持った領域における同様の研究を始める予定である.この場合,境界の存在が流れのパターンに及ぼす影響を厳密に記述することが第一の課題となるので,それについて知られている部分的な結果の改良から始めたい. なお上記の研究の過程で宮川は,理想流体の理論で古来有名なダランベールの逆理が,定常流だけでなく非定常流でも起こり得ることを,対応する圧力場の解析を通じて明らかにした. 福本は渦輪の安定性解析において曲率不安定性なる新概念を導入し,渦輪の各部分の曲率と渦自体の安定性や不安定性との関係を論じた.その結果,渦運動ではその対称性が不安定性を引き起こす場合があることを精密に論ずることができた.この概念は渦運動の解析で基本的に重要なものであると思われる. 以上は有界な境界をもつ非有界領域での流れや有界な渦の運動を論じたものであるが,方法論的には非有界な境界をもつ非有界領域での同様の研究を行う足がかりとなるものである. 井口は水面波の挙動を輪じた.水底に凹凸があり,無限遠で非自明な一様流である波の自由表面のいわゆる長波近似を扱い,外力項を伴うKdV方程式の厳密な導出を,Sobolev空間の枠内で初めて行った.これは従来は実解析関数の枠内でしか知られていなかったもので,水面波の波形が実解析的でない場合の最初の厳密な成果である. 菱田は回転物体周りの流れの線形近似の定常問題を扱い,弱解の存在を示した.ここで得られた結果と従来考察されて来た静止物体の周りの流れでの結果との精密な対照を行った.本問題においては領域の境界は有界ではあるが,微分作用素の係数が無限遠で増大するために,独自の考察と手法を要する.その手法は数学的には非有界な境界をもつ領域での流れの問題の扱いの発展に資するものである.実際菱田は,本研究で見出した手法を用いて,特殊な形状の非有界境界をもつ領域での流れの問題を現在研究している.
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Research Products
(6 results)