2009 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式の解に時間依存の特異点が現れる諸問題の新展開
Project/Area Number |
18340047
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小俣 正朗 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (20214223)
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Keywords | 自由境界問題 / 変分問題 / 数値解析 / 離散勾配流 / 偏微分方程式 / 最適化 / 非局所解析 / 体積保存問題 |
Research Abstract |
研究計画に基づいて、(1)自由境界を持つ石鹸膜の振動問題について主要項をラプラス作用素としたものの近似解の構成と数値解析法の開発を行った。(2)双曲型の体積保存問題とそれに関連する自由境界問題についての近似弱解の構成と数値計算方法の開発を行った。(3)体積保存条件を持つ振動方程式を導きその弱解の構成を行った。(4)体積保存条件を持つ放物型方程式の弱解の構成とヘルダー連続性を示した。 この結果、自由境界のある場合は、非局所項(全体の情報を必要とする微分方程式の項)を持つ退化双曲型自由境界問題などの近似解の構成が出来たことになる。また、この種の自由境界問題には、変分問題に基づく計算方法である双曲型離散勾配流法が大変有効であり、特に制約条件の無い場合は双曲型自由境界問題でも、近似方程式がうまく意味づけられることが分かった。この問題は、物理的なイメージとしては、平面上での液滴モデルの時間発展ダイナミクスであり、その振動解析を行うことが出来るようになった。 さらに数値計算では液滴の合体や分離も取り扱えるようになった。また、体積保存の振動方程式は津波を表面波だけで記述する基礎方程式と密接な関係があることがわかった。特に、1次元の場合には高速で有用な数値計算方法が開発された。3次元問題ではソフトウェアの動作は確認されたが、計算速度の面で多くの課題が残った。いずれにせよ、この問題に付随して出てきた、変分問題は新しいタイプであり今後の発展が期待される。全般的に本研究は、補助金のおかげと研究分担者の協力により順調に進み一定の成果を挙げたと判断される。
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Research Products
(5 results)