2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田村 英男 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30022734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
勝田 篤 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60183779)
一瀬 孝 金沢大学, 自然科学研究科, 名誉教授 (20024044)
岩塚 明 京都工芸繊維大学, 工芸科研究科, 教授 (40184890)
伊藤 宏 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90243005)
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Keywords | シュレディンガー作用素 / 磁場散乱 / アハラノフ・ボーム効果 / 散乱全断面積 / 散乱位相 / 準古典近似 |
Research Abstract |
本年度は、スペクトル漸近性の研究課題について、次に述べる成果(1),(2)を得た。(1)フラックスの総和が消える2つのソレノイドによる2次元磁場散乱の散乱全断面積について、最初の3項を有する準古典漸近展開公式を導いた。その結果、磁場ポテンシャル自身が粒子の運動に直接関与する量子力学からのアハラノフ・ボーム量子効果と2つの磁場の中心間で振動する古典軌道が生み出すtrapping現象がいかに関わり合うかが準古典近似の視点から明らかにされた。得られた結果は論文Ref[1]において公表した。(2)2つの十分離れた台(support)を有するポテンシャルあるいは磁場による散乱において、散乱位相(scattering phase, time delay)に対する漸近公式(2つの台の間の距離を展開媒介変数とする)を導いた。漸近公式には、2つの台の間で振動する古典軌道が深く関与する。ポテンシャル散乱の場合は、従前の結果を進展させる結果である。一方、磁場散乱の場合は、エネルギーを変数とする超関数としての弱い意味での漸近公式であるが、初めて得られた結果である。これらの結果は、ナント大学(Nantes,France)での9月セミナーの場で紹介し、論文Ref[2]によっても公表した。 その他の活動として、研究分担者一瀬孝による調和振動子が生成する半群への指数積近似(ノルム近似・積分核近似)の研究(Ref[3])について、有益な助言を行った。さらに、2名の分担者(岩塚明・峯拓矢)にルーマニアで開催された国際研究集会の渡航滞在費を負担した。 来年度への継続課題として、(1)で述べた2つのソレノイド磁場からなる系において、散乱位相や散乱極の分布について準古典漸近解析を展開することを目標としている。
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Research Products
(4 results)