2008 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントπ中間子生成による超新星爆発メカニズムの研究
Project/Area Number |
18340063
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒見 泰寛 Tohoku University, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (90251602)
|
Keywords | 核力 / △粒子 / コヒーレントπ中間子生成 / ランダウ・ミグダルパラメータ / π中間子凝縮 / ガス電子増幅検出器 |
Research Abstract |
中間エネルギー陽子ビームによるコヒーレントπ中間子生成実験により、原子核内における△粒子間相互作用、特に短距離成分の強度に関して実験的に調べた。高密度核物質中で発現していると考えられる相転移現象 : π中間子凝縮状態の臨界密度は、△粒子間相互作用の強さに強く依存していると理論的に示唆されており、中性子星に代表される高密度核物質の内部構造を知る上で重要である。コヒーレントπ中間子生成は、陽子ビームから放出された仮想π中間子が、原子核媒質中で△粒子-核子空孔状態が次々と伝播し、終状態で実π中間子が生成される反応過程であり、その断面積は△粒子相互作用の強さに敏感である。平成20年度は、本研究の最終年度にあたり、この2年間で開発を進めてきたパイ中間子検出用ガス電子増幅位置(GEM)検出器を用いて、阪大・核物理研究センターで行ったパイ中間子と散乱中性子の同時計測によるコヒーレントパイ中間子生成の実験解析を進めた。その結果、コヒーレントπ中間子生成の特徴である前方集中の強度分布が観測され、中性子、π中間子ともに0度方向での断面積のπ中間子エネルギー依存性から、△粒子間相互作用短距離成分の強度に関して、斥力成分が強いことが明らかになってきた。しかし、パイ中間子凝縮状態の臨界密度を決定するには、詳細な解析の結果、より十分な統計精度が必要であることがわかった。改善策として、GEM検出器の読み出し速度を早くして、データ収集効率の向上を行う必要があるが、この研究により、Swinger磁石内に配置した高分解能GEM位置検出器と中性子検出器との組み合わせた高分解能コヒーレントパイ中間子生成の測定方法を確立した。なお、この研究により、平成20年度に、1名の学生が学位論文を仕上げ、大阪大学の学位を取得した。
|