2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末元 徹 東京大学, 物性研究所, 教授 (50134052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 誠 東京大学, 物性研究所, 助手 (40361662)
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Keywords | 光誘起相転移 / 波束 / ダイナミクス / フェムト秒 / 発光 |
Research Abstract |
18年8月末に,本研究補助金で5kHz繰り返しの再生増幅器Spitfire Pro 40Fを購入し,約3ヶ月かけて新たな光源を整備した.励起レーザーの仕様に合わせて非同軸光パラメトリック増幅器(NOPA)の改造を行い,ほぼ予定通りの時間幅30fsを得た.また,出力は予定をはるかに上回る10mWを実現した.波長は520-700nmで可変となった.このレーザー光を別室に導き,時間分解発光の測定が行える状態にした. <遷移金属錯体> Pt錯体において低温で低エネルギー領域まで測定を行ったところ,波束が低エネルギー端に来たところで異常に発光強度が増大すること,波束の主要部分が戻ると同時に,逆方向へ移動する成分があることを見いだした.これはポテンシャルの鞍点において波束が分裂していることを示唆しており,非常に興味深いので,現在,波束ダイナミクスのモデルを構築してシミュレーション作業を行っている. 梯子型のPt錯体について時間分解発光測定を行い,Pt-I系の試料において波束の振動を観測した.これを一本鎖のものと比較することにより,励起状態における格子緩和が小さくなっていることを示した.これは梯子型錯体における励起状態の初めて研究である. <生体物質> ヘム蛋白の一種であるシトクロムcにおける超高速発光を観測することに初めて成功した.ピコ秒程度の減衰時定数が得られたが,波束振動はまだ見いだされていない.現在,定常発光スペクトルなどの測定も平行して行い,発光起源の同定を行っている.
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Research Products
(10 results)