2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面および界面の2次元素とスピンに関する研究
Project/Area Number |
18340080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 徹 The University of Tokyo, 大学院・理学研究科, 准教授 (60245371)
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Keywords | 低温物性 / 表面・界面物性 / 半導体物性 / 量子閉じ込め |
Research Abstract |
Si/SiG6ヘテロ構造2次元電子系において,軌道量子数とスピン状態が異なる2つのランダウ準位を磁場角度の調節により交差させ,電気伝導測定を行った,交差する2つのランダウ準位に擬スピンのアップとダウンを対応させると磁性の問題として理解できるが,クーロン相互作用が軌道量子数に依存するため,交換相互作用はイジング的である。ランダウ準位充填率が4の場合において,準位交差に伴う巨大な対角抵抗の急激な増大を観測した。50ミリケルビンの極低温において大きなヒステリシスが観測されたことから,強磁性ドメインが形成されたと考えられる。また,常磁性領域においてはダブルピーク構造が観測され,短距離秩序揺らぎによる散乱の可能性が示唆された。一方,ランダウ準位充填率が4から外れた遷移領域においては,対角抵抗にディップが観測された。一体的な準位交差点において,反強磁性的な擬スピンの秩序状態が形成されたものと理解できる。ディップの両側に観測されたピークは,反強磁性状態と強磁性状態との間の1次相転移に対応するものとして説明した。 InAs壁開表面に,鉄を蒸着して表面反転層を誘起したハイブリッド系において,特定の被覆率領域で磁気抵抗曲線の明瞭なヒステリシスを観測した。1原子層以下の鉄薄膜の磁気的状態を2次元電子系の電気伝導を通じて観測した初めての研究成果である。ヒシテリシスは10K程度の温度で消失するが,これより低い温度領域で,温度変化や磁場変化の履歴による抵抗変化やその長時間緩和過程を詳細に調べたところ,鉄薄膜がスピングラス状態を形成していることを示唆する実験結果が得られた。
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