2006 Fiscal Year Annual Research Report
単一光子注入による少数電子系の電子・核スピン制御の研究
Project/Area Number |
18340081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大岩 顕 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (10321902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽茶 清悟 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40302799)
山本 倫久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (00376493)
中岡 俊裕 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (20345143)
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Keywords | 半導体物性 / 量子ドット / メゾスコピック系 / 量子コンピュータ / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
本研究では、長距離伝送を担う光子から固体量子演算素子の量子、特に量子ドット中の電子スピンへ量子情報の転写の実現は将来の量子情報通信の基盤技術として非常に重要である。本年度は量子情報転写の第一段階として、単一光子-単一電子スピン変換のための実験系の構築、光子変換のため遮光マスクを備えた量子ドット試料の作成、量子ドットによる単一光子検出に取り組んできた。 光子-電子スピン変換のための量子ドット素子の作成 量子状態転写は単一の量子つまり単一光子と単一電子スピンの間で実現される必要があり、特に量子ドット中の単一電荷の検出には量子ポイントコンタクトを用いる必要がある。またこの量子ポイントコンタクトは光照射中に感度が維持できるよう極力光照射を避けなくてはならない。したがって量子ポイントコンタクトを備え、その量子ポイントコンタクトは遮光された量子ドット素子の作成を確立した。 3He光学クライオスタットの導入と光学系の構築 スピン検出の研究を行なうために重要な低温・強磁場を実現する超伝導マグネット付3He光学クライオスタットを導入した。これにより単一光子が生成する単一電子スピンのスピン検出が可能になり、光学窓からの光子の照射により偏光の制御や量子ドットへの集光など制御性の高い実験が今後可能となる。 装置の納品の遅れで実験が当初計画よりも遅れ関連装置購入のため繰越を行なったものの、素子の作成と測定系の構築をほぼ完了し、次年度光子検出やスピン検出の実験を行う準備を完了した。 自己形成InAs量子ドットにおける電子数状態の電荷検出: 自己形成InAs量子ドットの直下に形成された狭窄伝導チャネルの電流を測定し、ドットの帯電を反映するつまり電荷検出と思われる信号を検出することができた。今後は確認実験とともに、光照射に対する応答を調べ、InAs量子ドットによる単一光子検出の実現を目指す。
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