2008 Fiscal Year Annual Research Report
単一光子注入による少数電子系の電子・核スピン制御の研究
Project/Area Number |
18340081
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大岩 顕 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (10321902)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽茶 清悟 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40302799)
山本 倫久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (00376493)
|
Keywords | 半導体物性 / 量子ドット / 単一光子検出 / 光子-電子スピンインターフェイス / 量子情報処理 |
Research Abstract |
円偏光を持つ単一光子が励起する単一電子のスピン方向の検出を目指し、本年度は2次元電子系に対して垂直磁場を印可した時に、電極に生ずる量子ホールエッジ状態を使った、光生成電子のスピン検出法を提案し、その実証実験を行った。 試料はGaAs/AIGaAs2次元電子上に形成された量子ドットで、近傍に電荷計として量子ポイントコンタクトを有する。適当な大きさの垂直磁場下では量子ドットに対する電極部である2次元電子系にスピン分裂エッジ状態が形成される。このときドットから電子がエッジ状態にトンネルする際に、その電子スピン方向に応じて、エッジ状態までの距離にが異なるめ、トンネル時間にスピン依存性が生じると期待される。これを使うと単一光子によって生成され、量子ドットにトラップされた単一電子が量子ドットからのトンネル時間の差異でスピン方向を検出することができる。 そこで垂直磁場下で無偏光照射による単一光子検出を行い、光生成電子が量子ドット中にトラップされているトラップ時間を解析した。スピン分裂エッジ状態が形成されている磁場よりも低磁場では、トラップ時間は1ms以下の比較的短い時間に分布しているが、エッジ状態が形成される磁場領域では10ms程度の長いトラップ時間が観測されるようになった。これはエッジ状態によるスピン依存トンネルが起こっており、この手法が光生成単一電子のスピン検出に有効であることを示している。これは単一光子から単一電子スピンへの角運動量転写への重要な成果である。今後は、この手法を確立し、単一電子スピンの検出や量子状態転写へと展開する。 その他、スピンプロッケードを利用したスピン検出を実現するため遮光マスク付2重量子ドットを作製をほぼ完了したので、今後単一光子検出とスピン検出を目指す。また本年度達成できなかった光子数識別やInAs量子ドットでの単一光子検出なども今後の課題である。
|
Research Products
(15 results)