2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340083
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 一隆 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 准教授 (20302979)
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Keywords | 時間分解X線回折 / フォノン / 相転移 / ダイナミクス / コヒーレント |
Research Abstract |
平成19年度は、フェムト秒レーザーパルスによるコヒーレントフォノンの制御の観点から、ダブルパルス励起による半導体・半金属単結晶における、コヒーレントフォノンのモード選択励起の研究を行った。ポンプ・プローブ時間分解計測における、ポンプレーザー光をマイケルソン干渉計によって、パルス間隔を任意に調整可能なダブルパルスにした。対象試料として、ビスマス単結晶を用いて、フェムト秒時間分解過渡反射率の変化により、コヒーレントフォノンの制御性の検証と計測を行った。ビスマスには、互いに直行する振動モードA_<1g>モードとE_gモードが存在し、Electro-Optical計測することで、両方のモードの振動を計測することができる。測定結果からは、 A_<1g>モードとE_gモードの振動周期はそれぞれ340fsと470fs、また緩和時間はそれぞれ3psと2psと求められた。励起ダブルパルスの間隔を、一方の振動周期の半分にすることでそのコヒーレントフォノン振動振幅をほぼゼロにすることができた。また、1周期の間隔のダブルパルスで励起すると振幅の増強を起こすことができた。これちの結果は、ダプルパルスを用いるコヒーレントな原子運動を起こし、かつその運動方向を制御することができることを意味しており、コヒーレント原子運動方向と変位の制御により変位型の構造相転移の制御の可能性を強く示唆するものである。また、固体構造以外の相転移の可能性を探るために、超伝導体におけるコヒーレントフォノンの励起と制御に関する実験にも着手し、酸化物超伝導物質であるYBCOのコヒーレントフォノン測定に成功した。
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