2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子・振動励起による単一吸着分子ダイナミックスの理論
Project/Area Number |
18340085
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上羽 弘 University of Toyama, 理工学研究部, 教授 (70019214)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / トンネル効果 / 振動励起 / 表面光化学反応 / フェムト秒 / エネルギー移動 / 吸着 / 熱移動 |
Research Abstract |
初年度に続いて本年度も研究計画で想定した以上の成果を順当に挙げることができた。 単一吸着分子め非弾性トンネル分光において、トンネル電流の電圧に関する二次微分(非弾性トンネルスペトル)がピークを示す場合とディップを示す場合があることが多くの先駆的な実験で報告されてきたが、それらがトンネル電流に負の寄与をする弾性トンネル成分と正の寄与をする非弾性トンネル電流の競合によることを今まで発表してきた理論に基づく数値計算で明らかにした。さらに、この競合が系の透過率でユニークに表現できることを示した。また、電子・振動励起によって誘起される吸着分子の運動で吸着分子の振動モード結合が重要な役割を果たすことを種々の実験結果かち指摘し、その素過程を理論的に明らかにした。 これらの単一吸着分子の非弾性トンネルに関係する理論に加えて、フェムト秒レーザパルス励起で金属内に作らむた過渡的なホットエレクトロンからの熱移動によって、吸着分子の振動温度が過渡的に上昇し、吸着分子の運動が誘起される"表面フェムト光化学反応"の分野で従来の考え方を大きく超えた新しい理論構築を行った。従来の熱移動方程式が実は吸着分子の運動に関与するポテンシャルが調和振動と考え、さらに電子系との線形結合に対してのみ成立することを解析的に明らかにして、吸着分子のダイナミックスを調べるために運動に関与する非調和ポテンシャルにおける振動は導関数をあからさまに考慮する必要があること示し、この新規な理論に基づく具体的な数値計算を行った。さらに、フェムト秒レーザ励起で誘起される吸着分子の運動でも、金属内のホットエレクトロンと強く結合するモードと運動に関与する反応座標モードとの相互作用が重要な役割を果たすことを白金表面における一酸化炭素分子のホッピング運動について明らかにした。これらの研究成果を発表した論文の中でPhysical Review Bに掲載された3編の論文はいずれも同誌各号に掲裁された論文で注目の論文のみが厳選されるアメリカ物理学会が出版するバーチャルジャーナルにも掲載された。
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Research Products
(9 results)