2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340093
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北島 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, グループリーダー (00343830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石岡 邦江 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, 主幹研究員 (30343883)
長谷 宗明 国立大学法人筑波大学, 数理物質科学研究科, 助教授 (40354211)
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Keywords | 光励起 / 光学フォノン / 電子・格子結合 / 超高速ダイナミクス / 時間領域 |
Research Abstract |
半導体のコヒーレントフォノンについては、シリコンの光学フォノンの測定を行った。電子系と格子系とのファノ干渉により光学フォノンのFTスペクトル形状が非対称となることが観察された。ファノ式を使った解析により得られた非対称性パラメータqの値および励起光強度依存性の結果から、これがホットホールの連続バンドとの結合によるファノ干渉であることが明らかとなった。また、詳細な時間分解周波数解析の結果、時間0付近で低周波化されたフォノン周波数がやがてもとの周波数に戻る正のフォノンチャープが確認された。これらは半金属ビスマスの高密度励起の結果と共通する電子・格子相互作用に起因される現象である。 グラファイトについては、コヒーレントC-C面内振動の検出に成功した。グラファイトには6つの光学フォノンモードがあり、そのうち、2つのE_<2g>モードがラマン活性である。E_<2g_1>はグラファイトの面間のずれ変位に関わる振動モードであり周波数は小さい(〜1.26THz)。そのコヒーレントフォノンは時間分解反射率測定により既に観察されている。一方、E_<2g_2>は面内でのC-C(sp_2)伸縮振動モードであり(周波数〜47.5THz)、ラマン分光ではG-ピーク(graphite peak)とも呼ばれ、グラファイトの結晶性の議論にしばしば利用されるモードであるが、コヒーレントフォノンの観測はこれまでには報告されていない。ポンプ-プローブ反射率測定で検出された電気光学信号の時間変化には、t=0付近の電子的応答に引き続き、周期の異なる2つの振動成分が観測された。このうち、長周期(770fs)の振動成分はグラファイトの面間振動E_<2g_1>に対応するコヒーレントフォノンである。一方、一周期21fsの振動(:周波数=47THz)が面内振動E_<2g_2>のコヒーレント光学フォノンに対応する。面内振動E_<2g_2>のデータの時間変動解析によると、光励起初期における周波数変動(フォノンチャープ)などに通常のラマン測定では予測し得ない興味ある結果が得られた。
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Research Products
(5 results)