2006 Fiscal Year Annual Research Report
キャリアドープされたモット絶縁体に対するスペクトロスコピーの理論
Project/Area Number |
18340097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠山 貴巳 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70237056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 健二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80291011)
松枝 宏明 東北大学, 理学研究科, 助手 (20396518)
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Keywords | 強相関電子系 / スペクトロスコピー / 厳密対角化法 / 密度行列繰り込み群法 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体に代表されるキャリアドープされたモット絶縁体の物性測定に角度分解光電子分光やトンネル分光、また共鳴非弾性X線散乱といったスペクトロスコピーが威力を発揮している。本研究の目的は、本グループが開発・発展させている多体電子系に対する数値計算法を用いて、ドープされたモット絶縁体に対するスペクトロスコピーの理論を構築し、電子のもつ電荷及びスピン自由度がスペクトロスコピーに及ぼす効果や電子状態に果たす役割を解明することにある。平成18年度は以下の3点について研究を実施した。また、そのために大規模で高速な数値計算用コンピュータを導入した。 (1)銅酸化物絶縁体のCu 2p L端共鳴非弾性X線散乱スペクトルの理論 分担者の筒井が中心となり、当申請グループが精力的に研究を進めてきた遷移金属酸化物に対する共鳴非弾性X線散乱の研究を発展させ、Cu 2p L端のスペクトルの特徴を明らかにした。これは実験への提案を含んだ成果である。 (2)三角格子ハバード模型の磁気的性質と光学伝導の計算 フラストレートした格子である三角格子ハバード模型の磁気的性質、化学ポテンシャル、光学伝導度などのキャリア濃度依存性を厳密対角化法を用いて計算した。磁気的性質を見ると、スピンと電荷の自由度が弱く結合しているように見えるが、光学伝導度のような電荷励起はスピンと強く結合したインコヒーレントな構造を持つことが明らかとなった。 (3)一次元モット絶縁体の一粒子励起スペクトルに対する電子格子相互作用の効果によって 強相関電子系における電子格子相互作用の効果を明らかにするため、当グループで開発した動的に拡張した密度行列繰り込み群法を用いて、一次元モット絶縁体の一粒子励起スペクトルを計算した。スピン電荷分離に関係した特長的な構造を得た。
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Research Products
(6 results)