2008 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系超伝導体の人工超格子の作製による物性研究
Project/Area Number |
18340100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芝内 孝禎 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (00251356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
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Keywords | f電子系 / 次元性制御 / 電子相関 / 超格子 / 量子臨界点 / 有効質量 / 反強磁性 / 非フェルミ液体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分子線エピタキシー法(MBE)による重い電子系Ce化合物の薄膜化技術を完成させ、用いた同じ結晶構造を持ちながら重い電子を持たない通常金属であるLa系化合物との積層構造を作製し、重い電子を2次元的に閉じ込めた系を人工的に作り出すこと、およびこのような系での物性測定により、低次元強相関電子系の理解へとつなげていくことである。 本年度の成果としては、まず、薄膜成長装置であるMBEシステムを用い、反強磁性体CeIn3と、同じ結晶構造を持つ通常金属LaIn3の超格子構造を、様々なCeIn3の厚みについて系統的に作製した。X線解析および電子顕微鏡写真から、原子レベルでの制御が出来ていることを明らかにした。さらに、電気抵抗およびホール係数を希釈冷凍機温度まで測定した結果から、CeIn3層の厚みを少なくするにつれて反強磁性温度が低下していき、CeIn3層の厚みが2単位格子程度で量子臨界点を示唆する非フェルミ液体的振る舞いを観測した。この結果は、次元性という新しいチューニングパラメータにより、反強磁性秩序を制御し、量子臨界点を実現できることを世界で初めて示すものであり、現在論文を投稿中である。 また並行して、電子・熱輸送係数測定により、重い電子系超伝導体CeIrIn5の非フェルミ液体的性質が反強磁性ゆらぎに起因すること、また、超伝導対称性がdx2-y2であることを決定し、反強磁性量子臨界点近傍での物理に共通性があることを明らかにした。
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[Journal Article] Possible Phase Transition Deep Inside the Hidden Order Phase of Ultraclean URu2Si22009
Author(s)
H. Shishido, K. Hashimoto, T. Shibauchi, T. Sasaki, H. Oizumi, N. Kobayashi, T. Takamasu, K. Takenaka, Y. Imanaka, T. D. Matsuda, Y. Hasa, Y. Onuki, Y. Matsuda
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Journal Title
Physical Review Letters 102
Pages: 156403
Peer Reviewed
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