2006 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンの単一分子操作による新規なナノデバイスおよびナノ物質の作製
Project/Area Number |
18340104
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保園 芳博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80221935)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / ナノ化学反応 / ポリマーリング / 電界効果トランジスタ / キャリア伝搬 / 単一分子素子 / 輸送特性 / フラーレン |
Research Abstract |
シリコン半導体清浄表面上にC60を始めとするフラーレン分子を蒸着し,さらに表面を加熱することによって,C60の最密充填表面を形成した.これに走査トンネル顕微鏡(STM)の探針から電子やホールを注入して,協奏的なポリマーリングの形成に成功した.このリングは二次元的(2D)なポリマーによって形成されていることが見いだされた.また,探針に印加する電圧の絶対値を大きくすると,外径と内径ともに増加することが見いだされた.ポリマーリングの形成は,注入された電子やホールなどのキャリアの伝搬に伴って,Woodward-Hoffmannルールに従うポリマー化反応と脱ポリマー化反応が起こっているとし,脱ポリマー化反応に必要な活性化エネルギーがポリマー化反応の場合より大きいとすることによって説明可能である.また,これにより印加電圧の絶対値が大きな場合にリングの内外径が広がることも説明可能である.同じ電圧の場合でも正の試料電圧を探針-表面間に印加することによって,リングが広がることが見いだされた.これは,注入された電子の伝搬するLUMOやLUMO+1バンドの縮態度が,ホールの伝搬するHOMOやHOMO-1バンドの縮態度より小さいので,電子の有する電子-格子相互作用が小さくなることに起因している.このようにSTMを使って誘起されたナノスケールの反応を通じて,新しいフラーレンのナノ構造を作り上げて,ナノデバイスを形成する研究を進めている.また,薄膜レベルの電界効果トランジスタデバイスの直接の微小化によって,ナノスケールデバイスを形成する研究も同時に進めている.
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Research Products
(7 results)