2006 Fiscal Year Annual Research Report
制限された空間における構造と相転移:X線、中性子線、NMR、計算機実験による研究
Project/Area Number |
18340108
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
真庭 豊 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (70173937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和之 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助手 (60347268)
門脇 広明 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (70194876)
片浦 弘道 (独)産業技術総合研究所, グループ長 (30194757)
丸山 茂夫 東京大学, 大学院工学研究科, 教授 (90209700)
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Keywords | カーボンナノチューブ / アイスナノチューブ / 水 / NMR / 相転移 / 吸着 / 交換転移 / 低次元系 |
Research Abstract |
本研究は、直径制御された単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を用いて、そのサブナノメートルの直径を持った円筒1次元空洞内部の物質-水とファンデルワールス気体-がどのような構造や相転移挙動を示すかを明らかにすることが目的である。これまでの研究では、室温近傍の通常環境下(水の飽和蒸気圧)においてSWCNT内部に水が吸着すること、吸着された水は320K近傍で液体-気体様の相転移挙動を、温度を下げると液体-固体様の相転移挙動を示すことが明らかになっている。さらに、低温固体相は水のリング状クラスターが1次元的に繋がったアイスナノチューブであると考えられている。本年度は、ガス雰囲気のもとでの水の吸着と相転移挙動を、放射光を用いたX線回折実験、NMR、電気抵抗、計算機実験の方法を使って詳細に調べ、雰囲気ガスとSWCNT内部の水が、ある特定の温度、或いは圧力において交i換する「交換転移」を発見した。この「交換転移」はガス選択性が強く、さらに交換転移に伴って、SWCNTフィルムの電気抵抗が急激に変化することから、ガスセンサーとしての応用を提案した。また、ガス選択的ナノバルブとしての応用も提案した。 SWCNT内部へのメタン、アルゴンなどの吸着では、100K以上の比較的高い圧力(0.001〜1atm)領域において、バルクの液体-気体転移温度に対応する相転移挙動は観察されなかった。また、X線回折実験の解析から直径1.35nm程度のSWCNTへの吸着は、吸着分子が受けるポテンシャルの極小曲面上の2次元吸着であることが示唆された。さらに、低温、希薄領域の相転移挙動を明らかにするために、計算機実験(分子動力学)を行った結果、SWCNTの直径に依存した固体-液体(気体)様相転移挙動が観察された。低温固体相は、ポテンシャル極小曲面上の2次元3角格子(周期的境界条件を満たす)で近似できる。今後、圧力依存性やサイズ依存性などを調べる予定である。対応した実験として、吸着ガスのNMRを始めている。
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Research Products
(6 results)