2008 Fiscal Year Annual Research Report
強相関4f電子系の量子臨界点における電子状態の光学的・光電的研究
Project/Area Number |
18340110
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
木村 真一 Institute for Molecular Science, 極端紫外光研究施設, 准教授 (10252800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝寛 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 助教 (50370127)
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Keywords | 強相関電子系 / 光物性 / 物性実験 / 量子相転移 / シンクロトロン放射光 / 量子臨界点 / 希土類化合物 / 光電子分光 |
Research Abstract |
強相関4f電子の局在から量子臨界点を経由して非局在状態へ移行する過程では,磁性と伝導が複雑に絡み合い,非従来型の超伝導などの特異な物性が現れる。この物性の起源となっている電子状態を明らかにすることは,最近の物性物理における大きな課題である。このような4f電子系で局在から非局在への道筋の全体像を明らかにするためには,伝導電子と局在4f電子との混成強度を変化させた物性測定,とりわけ電子状態を直接観測する赤外・テラヘルツ分光や角度分解光電子分光が必要である。そこで本研究では,赤外・テラヘルツ分光と角度分解光電子分光をプローブとして,4f電子系の局在から量子臨界点を経由して非局在へ至る電子状態の変化からf電子系の量子臨界点近傍に表れる多彩な物性の起源を明確にすることを目的として研究を行った。 本研究の最終年度の成果として,以下の項目が上げられる。 (1)CeIn_3の高圧下で現れる量子臨界点では動的伝導度が大きく変化することがわかった。 (2)2次元の電荷密度が現れるCeTe_2でk_z方向に不完全なネスティングベクトルを観測し,3次元的なバンド分散に対応していることがわかった。 (3)巨大磁気抵抗を示す電子ドープEuO単結晶薄膜の育成に成功し,この系では世界最高の強磁性転移温度が得られた。また,その起源は,電子ドープによる不純物準位とEu 4fとの混成効果が重要であることがわかった。 (4)多くのCeやYb化合物で観測されている中赤外ピークは,従来言われてきた伝導帯と4f電子との混成によるギャップが原因ではなく,個々の化合物それ自身の複雑なバンド構造が原因であることがわかった。
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