2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪上 雅昭 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (70202083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽家 篤史 東京大学, 理学研究科, 助手 (40334239)
岡村 隆 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (30351737)
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Keywords | 長距離相互作用系 / 重力多体系 / q-変形 / 準定常状態 / ポリトロープ / 変分原理 / Tsallisエントロピー / HMFモデル |
Research Abstract |
これまでに申請者は非加法的Tsallisエントロピーを用いて重力多体系の平衡状態の解析を行った.具体的には,エントロピーの変分の極値から平衡状態を求め,圧力,密度に対する状態方程式がポリトロープ関係に従うポリトロープ状態が存在することを示した.そこで本研究では,Tsallisエントロピーの極値で与えられるポリトロープ状態が重力多体系を代表とする長距離相互作用系の準定常状態である,という理解を確立し,そのポリトロープ状態を軸に長距離相互作用系の非平衡現象を取り扱う理論的枠組みを構築する,ということを目的とした. 具体的には, (1)ポリトロープ状態を特徴づける指数の発展方程式を導く手法を開発した.今までの研究から断熱壁に囲まれた重力多体系の準定常状態はポリトロープ指数と密度比で記述されること明らかになっている.さらに全エネルギーが保存するので,準定常状態を表す分布関数はポリトロープ指数nという1個のパラメターで記述される.また重力多体系の時間発展はFokker-Planck方程式を用いて解析できる.そこで本研究では上のFokker-Planck方程式を導く一般化された変分原理を利用した.変分の母関数に試行関数としてポリトロープ状態を代入しパラメタnについて変分をとることでnについての発展方程式を導出した.さらにこのnの発展方程式とN体数値シミュレーションの結果を比較し,極めて良く一致することを示した. (2)ポリトロープ状態による記述が,他の長距離相互作用系でも有効であることを示すため,2次元HMFモデルで数値シミュレーションを実行し,準定常状態が存在することを確認した.
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Research Products
(2 results)