2007 Fiscal Year Annual Research Report
気体分子の内殻光電子分光:共鳴、量子干渉、非断熱効果と内殻イオン化状態の構造决定
Project/Area Number |
18340116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 潔 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授 (50151791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
プルンパ ゲオルグ 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90400431)
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Keywords | 内殻光電子分光 / 同時計測 / 形状共鳴 / 角度分解光電子分光 / 分子座標系 |
Research Abstract |
1. N_2,C_2H_2,CO_2,NO,N_2O分子について、SPring-8BL27SUの高分解能光電子分光装置を用いて、内殻光電子スペクトルの振動分布をイオン化しきい値近傍から約50eV高い励起エネルギーまでの範囲で測定を行った。これらの分子について、内殻光イオン化における形状共鳴の振動依存性を取り込んだ第一原理計算を行い、実験結果との比較から、形状共鳴が振動分布に与える影響を明らかにした。 2.CO,N_2,CO_2,N_2O分子について、形状共鳴の影響を受けない領域での内殻光電子スペクトルの振動分布から内殻イオン化状態の平衡安定構造を決定し、第一原理計算との詳細な比較を行った。 3.N_2、C_2H_2分子の内殻軌道は1s軌道の重ねあわせで記述され、内殻光電子放出はYoungの2重スリット実験のスリットを2個の原子に置き換えたものに相当する。これらの分子について、SPring-8BL27SUの高分解能光電子分光装置を用いて、1s正孔状態のgerade-ungerade対称性を分離した内殻光電子スペクトルをイオン化しきい値近傍から約1keV高い励起エネルギーまでの範囲で観測し、理論計算との比較から、高エネルギー光電子放出におけるYoungの2重スリット干渉効果、弾性散乱、反跳効果を明らかにした。 4.SPring-8BL27SUに設置した電子・イオン運動量同時計測装置を用いてCO_2,NO分子の内殻光電子放出の分子座標系における角度分布を形状共鳴領域で測定し、第一原理計算との比較を行った。 5.電子・イオン運動量同時計測装置の性能を向上させることを目指し、新たな超高真空容器を設計製作した。
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