2006 Fiscal Year Annual Research Report
光ー冷却原子集団間における多次元エンタングルメントの制御
Project/Area Number |
18340118
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上妻 幹旺 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (10302837)
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Keywords | 軌道角運動量 / レーザー冷却 / エンタングルメント / 多次元 / 集団励起 / DLCZ |
Research Abstract |
平成18年度における研究の目標は、レーザー冷却された原子集団と単一光子との間に、軌道角運動量に関するエンタングルメントを発生することであった。この目標は見事に達成され、2×2次元のエンタングルメントが形成されていることが量子トモグラフィーを通して確認された。これにより、予定通り今年度は、原子集団と単一光子との間に多次元の(3×3次元)のエンタングルメントを生成する実験をスタートできることになった。また離れた2つの原子集団間に同様のエンタングルメントを形成する実験にも着手できると思われる。以下、実験の詳細を説明する。予めハイパーファインポンピングされた原子集団にC数とみなせるような光を照射するとAnti-stokes Raman過程がおこる。この際、ある特定の空間モードに射出された単一の光子を検出すると、原子のディッケ状態を1つ励起することができる。原子系のデコヒーレンス時間内であれば、Stokes Raman過程を誘起するような光を照射することで、好きな時刻に単一光子を取り出すことが可能となる。このようにして発生した単一光子が、実は原子集団との間に軌道角運動量のエンタングルメントをもつことを我々は確かめた。dislocationをもつホログラムとシングルモードファイバーとの組み合わせを利用して、軌道角運動量に関する量子トモグラフィーを行い、再構成された密度行列要素から、エンタングルメントの指標であるEntanglement of formationを評価した。その結果、0.76>0という値を得ることができ、2×2次元でのエンタングルメントが確認された。
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