2006 Fiscal Year Annual Research Report
卓上型高出力超短パルスレーザーを用いたGeV電子加速の研究
Project/Area Number |
18340120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 公伯 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80225614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 了祐 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (80211902)
北川 米喜 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 教授 (40093405)
田中 和夫 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70171741)
羽原 英明 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (60397734)
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Keywords | レーザー加速 / キャピラリーターゲット / 航跡場 / GeV電子 / 準単色電子 / 電子プラズマ波 / プラズマダイナミクス観測 / 電子分光器(ESM) |
Research Abstract |
本研究では、出力尖頭値がテラワットを越す10Hzの卓上型レーザー装置で電子プラズマ波を励起して長尺化し、GeVを越す高エネルギー電子ビームを発生することを目的とする。電子プラズマ波でGeV級の電子を加速するには比較的密度の低いプラズマを長距離に渡って励起する必要がある。これは密度の高いプラズマを用いた場合には加速電界の強さは大きくなるものの脱位相距離が短くなり、結果的に到達最大エネルギーがリミットされることによる。GeV級の電子発生には高々10^<18>cm^<-3>程度の電子密度を有する電子プラズマ波をセンチメートル以上に渡って励起する必要がある。このようなことを実現するために、具体的に以下の項目を実現することを目的とした。 1.10TWレーザー装置の出力及びポインティングの安定化、 2.白色プローブパルスによる電子プラズマ波の観測技術の確立、 3.長尺キャピラリー中の高強度光パルス伝搬とその観測、及び 4.10TW級レーザーによる長尺キャピラリーを用いたGeV級高速電子発生。 研究目的の遂行のため、技術的に解決すべき課題と、物理的に明確にすべき課題を克服する必要があり、本年度では次年度のGeV電子発生のための準備と位置付けた研究を行った。 まず、加速長を長尺化する方法として、中空キャピラリーを考案し、そのようなキャピラリーターゲット部の開発を行った。具体的には中空キャピラリーを使ってターゲットチャンバーを2分し、差動排気を行うことで、レーザー集光を行なう側を比較的高真空に、キャピラリーから後の部分を中空ファイバー中のガス密度が十分高くなる程度の圧力に、それぞれ保てるような構造を採用する。また、基本的に1ショットでキャピラリーは破壊されることが予測されるので、アライメントのしやすさや、交換のしやすさを考慮した構造を採用した。現在、動作チェックを行っている。 次に、GeV電子計測のための電子分光器(ESM)を準備するが、実験的に較正された検出器を利用してGeV電子観測ができるように、SPring8の入射用ライナックを利用した検出器イメージングプレートの較正を行った。 最後に、物理的課題に対する研究として、白色プローブシステムの開発とガスジェットターゲットを利用したプラズマダイナミクスの観測を試みている。原子力開発機構J-LITE Xレーザーを利用して、既に開発された10fs白色プローブパルスの発生に成功した。次年度に実際の観測を行う予定である。
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