2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝アルゴリズムを用いたデコヒーレンスの検証と制御法の開発
Project/Area Number |
18340121
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大森 賢治 分子科学研究所, 教授 (10241580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 浩之 分子科学研究所, 助手 (10390642)
穂坂 網一 分子科学研究所, 研究員 (00419855)
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Keywords | 波束 / アト秒 / コヒーレント制御 / デコヒーレンス / 遺伝アルゴリズム / フェムト秒 / 量子 / レーザー |
Research Abstract |
我々はこれまでに、アト秒レベルで物質の量子位相を操作するための位相制御光源(APM)を開発し、これを用いて気相中の孤立分子を非常に高い精度でコヒーレント制御することに成功している。今後、コヒーレント制御法を気相以外の様々な環境下で実現するために乗り越えなければならない壁の一つはデコヒーレンスの制御である。デコヒーレンスとは物質の波の性質(コヒーレンス)が周囲との相互作用によって失われて行く過程で、これが激しい環境を「量子散逸系」と呼ぶ事にする。デコヒーレンスは実用的な見地からばかりでなく、量子-古典境界に関連する基礎的な研究テーマとしても重要である。原子分子レベルの物質が示す顕著なコヒーレンスが系の複雑化や拡大とともにいかにして失われて行くかはまだあまり良く理解されていない。本計画では、APMを高感度かつ定量的なデコヒーレンス検出器として活用することによって、デコヒーレンスの基礎的な検証と制御を試みる。これらを稀薄な分子集団だけでなく、固体にも適用することによって、量子散逸系での高精度なコヒーレント制御法を実現するための基盤技術の開発を目指す。 18年度は、超短パルスレーザー光の照射によって気相分子内に発生した振動波束に高強度近赤外レーザー光を照射することによって、人為的なデコヒーレンスの誘発を試みる実験を行った。この結果、近赤外レーザー光によって波束の量子振幅が減少することが確認された。さらに、APMを用いたデコヒーレンス検出を試みたが、近赤外レーザー光によって波束の量子位相がずれる様子はまだ確認されていない。さらに、同様のデコヒーレンス測定を、クライオスタットによって作製した固体パラ水素中に分散捕捉されたヨウ素分子に適用するための準備を進めた。
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