2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝アルゴリズムを用いたデコヒーレンスの検証と制御法の開発
Project/Area Number |
18340121
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大森 賢治 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 教授 (10241580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 浩之 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (10390642)
穂坂 綱一 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 特別協力研究員 (00419855)
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Keywords | 波束 / アト秒 / コヒーレント制御 / デコヒーレンス / 遺伝アルゴリズム / フェムト秒 / 量子 / レーザー |
Research Abstract |
我々はこれまでに、アト秒レベルで物質の量子位相を操作するための位相制御光源(APM)を開発し、これを用いて気相中の孤立分子を非常に高い績度でコヒーレント制御することに成功している。今後、コヒーレント制御法を気相以外の様々な環境下で実現するために乗り越えなければならない壁の一つはデコヒーレンスの制御である。デコヒーレンスとは物質の波の性質(コヒーレンス)が周囲との相互作用によって失われて行く過程で、これが激しい環境を「量子散逸系」と呼ぶ事にする。デコヒーレンスは実用的な見地からばかりでなく、量子-古典境界に関連する基礎的な研究テーマとしても重要である。原子分子レベルの物質が示す顕著なコヒーレンスが系の複雑化や拡大とともにいかにして失われて行くかはまだあまり良く理解されていない。本計画では、APMを高感度かつ定量的なデコヒーレンス検出器として活用することによって、デコヒーレンスの基礎的な検証と制御を試みる。これらを稀薄な分子集団だけでなく、固体にも適用することによって、量子散逸系での高精度なコヒーレント制御法を実現するための基盤技術の開発を目指す。 19年度は、18年度に引き続き超短パルスレーザー光の照射によって気相分子内に発生した振動波束に高強度近赤外レーザーパルスを照射することによって、人為的なデコヒーレンスの誘発を試みる実験を行った。この結果、近赤外レーザーパルスの照射によって波東の量子振幅が減少することが確認された。さらに、APMを用いたデコヒーレンス検出を行い、近赤外レーザーパルスの照射によって波束の量子位相がずれる様子を確認した。さらに、近赤外レーザーパルスの位相変調や照射のタイミングによって、波束の量子振幅と量子位相の変化量を制御することができた。このように、気相分子と高強度近赤外レーザー光およびAPMを組み合わせたデコヒーレンスシミュレーターの開発に成功したことが本研究の最大の成果である。さらに、18年度に引き続き、同様のデコヒーレンス測定を、クライオスタットによって作製した固体パラ水素中に分散捕捉されたヨウ素分子に適用するための準備を進めた。一方、デコヒーレンスシミュレーターにおける近赤外レーザーパルスの位相変調に遺伝アルゴリズムに基づくフィードバック制御を施すまでには至れなかった。これらの点については、今後も引き続き研究を進めていく計画である。
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Research Products
(22 results)