2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子機能および化学反応網における選択性と統計性のダイナミックス基盤の創生
Project/Area Number |
18340124
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (30270549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 振風 神戸大学, 理学部, 学術推進研究員 (90397795)
馬場 昭典 神戸大学, 理学部, 学術推進研究員 (50397840)
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Keywords | 化学反応ダイナミックス / 法双曲的不変多様体 / カオス力学系 / 相空間幾何学 / 生体分子と水 / 遷移状態 / 一分子計測 / 複雑ネットワーク |
Research Abstract |
反応遷移における統計性の起源: 状態変化における統計性の起源を法双曲的不変多様体の崩壊・分岐現象を通して明らかにした。遷移ダイナミックスがポテンシャル井戸内のアーノルドの網の目構造とどのように接続するかを調べ、作用空間における異常拡散のメカニズムを考察した。O(^1D)+N_2O→NO+NO気相反応の短寿命反応経路における2つのNO分子間の高速エネルギー交換のメカニズムを明らかにした。 階層的エネルギー地形の情報理論: クラスター、ガラス、過冷却液体およびたんぱく質の構造・物性・ダイナミックスを理解するうえでエネルギー地形学・形態学は非常に重要である。情報エントロピーに立脚して、エネルギー地形の構造トポロジーの複雑さに基づいて、たんぱく質の折り畳み易さを系統的に評価することを可能にするエネルギー地形の構造多型性や経路多重性を定量化する指標を開発した。 水の場としての集団運動と生体分子構造転移ダイナミックス 水の生体分子の構造変化と生体分子「近傍」の水の異常拡散を評価するための時空間分解した局所拡散解析法および水の粗視化された集団運動を評価するサイト速度場ベクトル解析を新規に開発した。その結果、(1)水分子は多様な拡散(記憶を持つ異常拡散、記憶を持たないブラウン拡散)を時々刻々遍歴していること、(2)生体分子が構造転移を起こす時空間スケールにおいて"渦"状の集団運動が産まれること、(3)サロゲートデータ解析より、観測された渦状の集団運動が個々のサイト速度ベクトル場が互いに空間相関を持たないとする確率過程として焼直せないこと、更には、空間平均する空間スケールが非常に大きくなると、大数の法則に従い始め力学性を消失すること、などを新規に明らかにした。 このほか、1分子時系列データから多次元自由エネルギー地形ならびに状態空間の遷移ネットワーク構造を構成する手法の開発も行った。
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Research Products
(12 results)