2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子機能および化学反応網における選択性と統計性のダイナミックス基盤の創生
Project/Area Number |
18340124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (30270549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 振風 北海道大学, 電子科学研究所, 博士研究員 (90397795)
馬場 昭典 北海道大学, 電子科学研究所, 博士研究員 (50397840)
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Keywords | 化学反応ダイナミックス / 法双曲的不変多様体 / カオス力学系 / 遷移状態 / 一分子計測 / 複雑ネットワーク |
Research Abstract |
大自由度反応系における相空間の構造解析理論の構築: ポテンシャル井戸内部のどのような相空間構造が"局所平衡"近似を成立させるのか、換言すると、どのような井戸内部の相空間構造が異なるベイスン間を経巡る系の分子記憶を担いえるのかは化学反応動力学における未踏の未解決問題である。有限次の正準変換摂動理論において、これまでの新旧の座標変換では、シンプレクティック構造が完全に保存しないことに由来する作用変数の揺らぎが、強い高次元カオス系においては無視できないことが判明した。我々は新規に母関数をハミルトニアンとする仮想的な時間発展を行い、新旧の座標変換を高精度で実行するとともに、ポテンシャル井戸内の"不変多様体の残骸"を検出する新しい方法論を構築した。 時系列情報から構成される複雑ネットワークと背後に存在する力学系の相空間構造 計算力学では、手順として(連続量である)時系列データを離散的な時系列に変換して、離散化(=シンボル化)された時系列に対して条件付き確率分布が等しいシンボル時系列の集まりを一つの"状態"として定義する。1分子観察においては、時系列データは常に観測ノイズを含むため、シンボル化は必須であることは自明であるが、時系列をシンボル化する際に損失する情報を最小にするためにはどのような手続きが最適であるかは未解決な難問として残っている。ヘノンーハイレス系と呼ばれる2自由度力学系を例に、得られるネットワークがもつ多様性(=すべての状態の滞在確率に対するシャノン情報量)を最大にするように座標の時系列データをシンボル化すると、時系列情報の背後に存在する相空間構造の非一様性を反映したネットワーク構造が再構成できることを新規に見出した。
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Research Products
(45 results)